ドイツの音響メーカー、ゼンハイザー社のハイエンドカナル型イヤフォン、IE8をK-popファンの方にもお勧めしたいと思います。
実は前々から、このサイトではこの製品をおすすめしていました。今この時点で、K-popファンの方にもお勧めしたいと思います。なぜ?今になって?アマゾンのリンク張ったから?まあ、お聞きください。アマゾンから購入するかどうかは、以下の話を聞いてからですよ。あわてちゃだめです。
まず、基本的な知識から。
いわゆるオーディオマニアさん達の話ですと、携帯型音楽プレーヤ本体にお金をかけるより、イヤフォンにお金をかけた方が良い音が聞けるそうです。どうぞ検索してください。たくさん情報が得られますよ。めんどくさい方は、続きを読んでください。
数万円の投資で何十万円ものオーディオコンポの音が聞けるそうです。いわゆるマニアですとチョットの音質向上に限りないお金をつぎ込むわけですが、我々はそうはいきません。限られたお金の中でできるだけ良い音を聞きたいわけです。そういった意味では、コストパフォーマンスに優れているんです。
実際、どの程度の製品を購入するかですが、できるなら自分の耳で聞いてください。好みがあります。都心や大きな地方都市の近くにお住まいなら、専門店や家電屋のイヤーフォン、ヘッドフォンがそろっている所へ行き、購入を検討したいので、自分のプレーヤーで鳴らしていいかと尋ねたら、たいていの店ではOKしてくれるでしょう。もし、値段と好みが合うなら、その時点で購入すればいいわけです。この話の続きはいりませんよ。
まあ、地方に住んでいるほとんどの方はそういった環境に恵まれていないわけです。私も含めて。
すると予算の範囲でできるだけいい音をとなるわけです。
できるだけいい音を目指すとやはりお金をつぎ込まなくてはなりません。各社の出しているハイエンド、いわゆる高級品を狙いましょう。イヤフォンの世界では、数千円の製品、一万円台の製品、それ以上の製品で比べれば、はっきりと格の違いが分かりますよ。ハイエンドが数万円したとして、一年間毎日100円を良い音に投資したとすれば、安い買い物になります。
そこで、できれば高級機となるわけですが、通常は2万円台から4万円台、特別なやつなら10万円近くなります。
ヘッドフォンとイヤフォンのどちらかを選択するかは、手持ちの音楽再生機がどの程度の出力ができるかが問題になります。いかにも音楽好きな人が頭に大きなヘッドフォンを付けていることがあると思いますが、通常は携帯用再生機の出力では十分に音が出せません。例えば、ヘッドフォンで10力が必要だとすると、再生機が5では小さな音でしか聞こえなくなります。最低限の10ならそこそこになるでしょうが、音質がいまいちになります。音量・音質ともに十分にならすには10以上の出力が必要になります。
一般に再生機側の出力はヘッドフォンを十分に鳴らすほど強くありません。それでもヘッドフォンを使いたいなら、ポータブル・ヘッドフォンアンプを使います。アンプは入力された信号を大きくする装置です。つまり再生機本体以外に、もう一つ機械を用意しなくてはなりません。もちろんその機械は充電式かもしれませんし、電池が必要かもしれません。その文重く、携帯に多少不便になるかもしれませんね。
するとたいてい、出力が低くても音が鳴りやすいカナル型のイヤフォンを選ぶことになります。カナル型のイヤフォンは耳の中で音を鳴らすため、鼓膜までの距離が近い、ですからヘッドフォンより小さな音であっても、同じ大きさで聞かせることができます。再生機の出力が小さくても、それなりの音量・音質で鳴らすことができるわけです。もちろん、再生機の出力性能はそれぞれ異なっています。iPhoneでも初めの頃の製品は今のカナル型でも十分に鳴らせないかもしれませんね。出力が小さめですから。最近の製品は出力が強めになっていますので、たいていのカナル型はそこそこ鳴らせます。
では高級機とそれ以外の製品では何が違うのでしょうか。そこまで違うのでしょうか。答えは、「違います」です。
まず、高級機は鳴らせる周波数が違います。高い方・低い方ともたいてい人の耳が聞き取れないほどの範囲を再生してくれます。それは、鼓膜で「音」として聞こえないのですが、音は振動ですので、耳の中を刺激してくれるのです。例えば、低い方の音は圧力として感じられます。音圧という言葉があります。ライブなんかでやたら大きなスピーカーで音楽ががんがん鳴ると、体が振動しているのが感じられるでしょう。耳もこの振動を感じています。実際、高級機を使い始めると、耳の中だけで鳴っているだけのはずが、体も震えているように感じることでしょう。
後は音場です。通常、音源はステレオ録音されているわけで、左右から違う音が聞こえるのです。基本スピーカーに合わせて調整されています。まあ、アレンジャーの好みもあるでしょうけど、やっぱりスピーカーが基本でしょう。細かいところのチェックは、ヘッドフォンでしょうね。それで、音を聞いたとき、当然左右へ音の広がりがあるわけです。同じ音源でも安い再生機器ですと、この広がりが少ないのです。高級機はきれいに広がってくれます。(良くオーディオに詳しい人になると、上下の広がりも聞こえてくると言うことです。ですが、生の音を聞く場合であっても、我々人間の耳は上下の感覚に優れていないのです。うる覚えなのですが、±15度程度しか聞き分けられなかったはずです。ですから、上下の音場の広がりは、その個人のイメージによる部分が多きのではないかと、私は考えています。高級機は細かい音も再生するので、それが聞いている人の想像力を刺激し、上下を感じるのでしょう。)
更によく言われるのが解像度です。音の細かさのことです。例えば、真っ正面にドラムとボーカルと、効果音的なサウンドが録音されていたとしましょう。同じ高さの音が団子のように一度に入らないようにするのは、多分アレンジャーの仕事なんでしょうが、そうそういつも上手くいくとは限りません。全然、考慮しないアレンジャーもいるでしょう。すると、団子のように似たような音が同じ場所から聞こえてくるのです。その時、安い再生機器は音がひとかたまりに鳴って聞こえます。高級機は、音がきちんと別々に聞こえます。まあ、どんなに上手いアレンジャーであれ、音が全く重ならないなんて無理な話なんです。また、重なることで音に厚みがあると我々は感じる部分もありますのでね。
他にカナル型ですと遮音性とかも性能に含まれます。外の音が聞こえてこない、再生音が外へ漏れない性能です。。ですがこれは一概に高級機が優れているとは言えません。
ここまでの説明で、携帯型のプレーヤーであれば、カナル型イヤフォン、できるなら高級機を買った方が良いというのがおわかりになりましたでしょうか。
そこで具体的な機器の選定に入るわけです。とはいえ、新しい製品が次々出ては消えていきます。そんな中でも数年にわたり販売され、しかも高評価を得ているロングラン製品があります。Etymotic Research イヤホン ER4S-Bとか、Ultimate Ears TRIPLE.Fi 10 PRO TF10PRO、まだロングランとまでは言えないですが以前の製品が発売されなくなったため、人気を受け継いだ後継機のSHURE SE535とかです。これらの製品は、ハイエンドで評価も高いものです。評価の数と星を比べてみてください。
これらの製品も良いですよ。ではなぜIE8をおすすめするかというポイントになります。
マニアの方でしたら、書き込んであるコメントを読み、音の傾向を判断したり、カタログスペックを見て、自分の手持ちの再生機で鳴らせるのか判断付くと思います。そんな実力者は、この文章を読んでいないでしょう。あまり詳しくないけど、やっぱりいい音で聞きたい方を前提にプレゼンしている前提です。
最近の高級機はほとんどバランスド・アーマーという機構を採用しています。お近くにコンポやステレオがありますか?スピーカーを見ていただくと、箱の中に2つ以上のスピーカー、もしくはスピーカーとその下あたりに穴が開いているかもしれません。その穴の奥にもスピーカーが隠れています。音が出るところが一カ所ではないのです。高い音と低い音、更にランクが上ならば中音域をそれぞれ別のスピーカーで鳴らすようになっていると思います。その仕組みを小さなイヤフォンの中に詰め込んでいるのが、このタイプです。
実際、IEシリーズを販売しているゼンハイザー以外の高級機は全部バランスド・アーマーであります。その特徴は、各スピーカーに別々の高さを担当させることで、音の解像度を上げること、それにより音場がしっかりと聞こえることです。専門家を用意して、担当をさせるわけです。
同じ音楽でも、高級機を使うと、細かい音まで聞こえます。普及品で聞く場合と比べると、リズムが早く聞こえがちです。これは、聞こえない音が聞こえることで、同じ時間に脳が処理する情報量が増えたため、早く聞こえるのではないかと思います。
ですから、細かい音まで聞き分けたいという場合は、このタイプが良いわけですね。一方、色々な音が聞こえるがために、聞き疲れが起きる人もいます。たくさんの情報量で脳が疲れるんですよ。情報量が多いので、一般にモニター的、サウンドチェック的な楽しみ方にはぴったんこなのです。
一方、おすすめしているIE8はダイナミック型です。スピーカーに低音から高音まで鳴らせるスピーカーを付けて、その一つでがんばってもらう仕組みです。スピーカーが一つしかない分、情報量はどうしてもバランスド・アーマー型に負けてしまいます。ですから、音の細かさは、他のメーカーの製品より一歩劣っている感じなのです。
では、普及品と比べたらどうなのかという話ですが、もちろん、IE8のほうが、断然細かく聞こえますよ。もともとIE8はモニター用イヤフォンとして発売されていましたからね。解像度は高いです。実際、製品のコメントを読んでもらうと分かるのですが、あまり細かく聞こえるよりは、ほどほどのほうが、音楽自身を楽しむにはちょうど良いようです。IE8は音楽を楽しむためのイヤーフォンです。聞き疲れも少ないですしね。
音場は、一般にはバランスド・アーマーのほうが優れているはずなのですが、意外とIE8は評価が高いのです。これは多分、複数のスピーカーのバランスの取り方が、リスナーの人に会っているかどうかなのだと思います。調整具合がぴったりの人にとってはそのバランスド・アーマーのほうが音場が広く、合わない人にとってはIE8のほうが広く感じるのでしょう。各製品のコメントを読むときには、そういうこともあるんだと、参考にしてください。
イヤホンもヘッドフォンも、スピーカーも、もし原音に忠実であることが第一ならば、製品も世界で一つだけ存在していれば事足りることになります。実際は、数多くの製品が存在しています。もちろんコスト的な面で原音主義には限界があるでしょうが、どの音をどの程度聞かせるかは、製品ごとの味付けです。後はリスナーの好みがその製品に合っているかになります。
イヤフォンも、高音が良く響くやつとか、中音に強くボーカルが良く聞こえるとか、味付けが製品ごとに違っています。IE8はややかまぼこ形(中音が強いタイプ)ですが基本フラットな製品です。これは、テスト用の音源を鳴らし、実際にイヤフォンから出る音を専門のスピーカーで拾って分析されている方がいらっしゃって、分析のグラフがWeb上に落ちていたのです。もう一度探そうとしているのですが、見つかっていません。情報が多すぎですね。ネット上は。 🙂
ただ、低音は多く聞こえます。特に最初のうちはそうです。これも意見が分かれているのですが、製品はある程度の時間が経ってから、本来の性能が出せるという人と、初めが一番良い性能で、時間が経ち音が変化するのは劣化であるという人がいるんです。この製品に限って言えば、ある程度の時間が経ってからが、本来の実力が出せると思います。特に初めの10時間は低音が多すぎ、全体も明瞭さに欠け、ああ失敗したかなと思いましたが、時間が経つにつれ低音が落ち着き、それに従って解像度が上がってきました。だいたい100時間くらいまで、結構変化し、それ以降はほんの少しずつの変化です。これは、聞いている人間が耳慣れする分もあると思いますが、それを差し引いても、この製品に関してはある程度鳴らしてからの方が、実力がでるとおもいますよ。ここら辺の話は、自動車の慣らし運転と同じですね。今は、加工精度が上がったので、慣らしはいらないという人もいれば、やはりある程度は慣らしで走った方が良いという人もいます。その人の考えがあります。私は、IE8に関しては、自分の耳で聞いた感想です。
クラッシック好きな人に言わせると、しっかりした低音があり、その上に中音、更にその上に高音がのるのが、良いスピーカーだそうで、その鳴り方に近いのがIE8だそうです。フラットな性格ですから、一般的には音楽ジャンルはオールマイティで楽しめます。
K-popはダンスミュージックがベースになっていて、音が低音よりです。人によっては、ダンスミュージックにIE8を勧めるなんて邪道だという人がいるかもしれません。もっと解像度の高い製品の方がいいとね。けれど、低音がたっぷりと聞けるIE8は結構相性がいいですよ。それに楽しんですよ。このIE8を使って聞くと。低音と高音が強く聞こえる傾向をドンシャリと言いますが、人によってはこのIE8はドンシャリ傾向だという人もいますので、人の耳は頼りになりませんね。きっと聞いている音源によって、その音楽の傾向がそのまま聞こえるんでないでしょうか。素直な鳴り方をしますからね。
実際、普通に楽しむリスナーには解像度も十分です。何度も言いますが、聞き疲れが起きないほどよい細かさです。普及品に耳が慣れている方は、最初は色々な音が聞こえてびっくりするでしょう。モニター的な使い方をしたい場合は、そもそもIE8は購入対象にならないと思います。音を聞き分けたいとか、分析したい場合はです。
それと、K-popアーティストは歌うまい人が多いですからね。バラード系の歌もいいですよ。人の声が含まれる中音もきれいに聞こえます。非常にハイトーンなボーカリストがメインでしたら、高音が良く聞こえるイヤフォンをおすすめしますが、たいていの声質であれば、十分聞かせてくれます。
ライブ系の音源もいいです。臨場感を盛り上げてくれますよ。このIE8は。
音を聞きたいなら、バランスド・アーマー型です。音楽を楽しみたいなら、このIE8です。バランスド・アーマー型は数多くあれど、音楽自体を楽しめるイヤーフォンは少ないのです。
あとはですね、三年近く使っていますが、断線無く使えていることです。これは、製品ごとの当たり外れもあると思います。私の場合、持ち運び時は本体にケーブル巻き付けていますし、使用中に再生機本体を落としたことも数十回あります。結構断線の危機はありましたが、どうにか無事でした。右の本体(ハウジング)とケーブルの接触がやや緩んでしまったのか、時々音がひずんでしまい、押しつけて直していますが、まだまだケーブル交換もしなくて良さそうです。IE8のケーブルは他の高級機よりケーブルが太めなので、その分、丈夫なんだと思います。これも利点です。
もちろん、ケーブルは切れるもの、消耗品ですから、切れたときでもケーブルだけ交換できますよ。
今までもこのサイトで紹介していながら、今また、このタイミングで紹介したのは、この記事を書き始めたときまで、アマゾンとヤフーでバルク品を2万円切った値段で販売していたからです。ところが、この文章を書いている数時間の間に、売り切れてしまいました。 😀
IE8を初めとして、ハイエンド製品が一般のユーザーにいつまでも売れるのは日本ならではの傾向です。海外ですと、販売開始から数年売って、あとは在庫切れたら、もうありませんになってしまいますが、日本は良い製品はいつまでも取り扱ってくれるのか、製品のライフタイムが長いのです。
IE8は大まかに分けて、正規日本品、正規並行輸入品、バルク品の3流通経路があります。他に偽物もあります。 :D 当然、この順番に、値段が安くなります。
正規日本品は現状2万5千円以上で売られています。アマゾンも通常はこの値段です。日本語のマニュアルと保証書が付いています。当然ながら、この保証書がないと2年間のケーブルを除く本体部分の保証が日本のゼンハイザー社から受けられません。
正規品ですが、日本の保証を受けられないのは並行輸入品です。日本の保証書がありません。1万9千円台で売られています。不安な場合は日本の保証書が付いているか、購入前に必ず確認しましょう。
バルク品とは、本来大量に必要なユーザーに、保証を付けないで、その分格安に売る製品のことです。コンピューターの部品などでお馴染みになった販売方法です。IE8のバルク品は正規品に10種類付いているイヤーピースを3種類に減らし、正規品では立派なプラスチックの箱に入っているものを、簡易包装にしたものです。もちろん、日本のゼンハイザー社からは保証は受けられません。たいてい、初期不良の交換を一週間だけできるという保証のみです。その代わり、安いですよ。数年に一度、このバルク品が売り出されます。今回、その機会があったようですが、残念ながら終わってしまいました。次回はいつになるか分かりませんが、一応商品知識として、書いておきます。
一応、アマゾンでの製品リンクを張っていますが、コメントなどを参考にしてください。ただし、アマゾンがいつも底値というわけではありません。価格ドットコムで確認してみましたが、以前ほど取り扱っている会社が多くないようです。以前は、もっと並行輸入業者が安い値段で売っていたのですが、ほとんど見当たらなくなりました。
音楽を楽しむためのイヤフォンIE8、機会があったら試してください。きっと気に入ると思いますよ。