IE8、イヤーピースの自作

数日前からイヤーピースをシングルの大から中へ変更しました。ぴったりで一安心と思いましたが、ところがどっこい、安定性に欠けることが分かりました。

耳の穴の大きさにはジャストフィットするのですが、コードが引っ張られたり、歩く際の振動などで位置がずれてしまいます。中ではちょっとだけ小さいらしいのです。「さて、またイヤーピース変えるか」とも思いました。でも、また数日試して、駄目だとその間のリスニング時間がもったいないと思いました。

それなら、自作で行くか、という結論に達しました。前のイヤーフォンでイヤーピースの片方を落とした際、自作したのですが、これがまたぴったりで、心地よいのです。うまく作れば、これからイヤーピースで苦労することはありませんし。あと、イヤーピースも高いですからね。

方法は簡単です。いま耳栓界では主力のウレタン製の耳栓を切って、穴を開けるだけです。慣れれば制作時間は15分、実際の作業時間は2から3分です。

材料と工具

  • ウレタン製の耳栓
  • 皮用の穴あけポンチ(4mm)
  • ハンマー(とんかち)
  • はさみ
  • 穴を開けるときの台
  • 穴を開けるときに下に敷く紙(いらないコピー用紙を折りたたんでもいい)

どんな耳栓が良いの?

耳栓にはたくさん製品があります。こんな感じです。

Many kinds of era-plugs

大きさにも色々あります。ご覧ください。

Small earplugs

一番右の緑の耳栓がだいたいアメリカの標準サイズです。それに比べ、左の4種類はかなり小さいです。日本人女性ですと大きすぎず、耳栓の用途に使用する場合は良いのです。ただ、イヤーピースに加工する場合、小さいと加工しづらいですし、なにせ一組から、1セットしか作成できません。標準サイズの物ですと、1組から2セット作成できます。お得なんです。

他にも向かないのが、昔のイヤーウィスパーのようなタイプ。スポンジでもウレタンでなく、塩化ビニールの物です。

old type earplugs

まず、長さが短いため、加工しても1セットしかできません。しかもウレタンに比べ堅めなので、つけ心地がいまいちです。

耳栓用途ですと良い製品ですが、加工しづらいのはHowardleight社の製品です。

MAX earplugs

基本的に他の耳栓に比べ柔らかいです。特に緑のやつは百円ショップのダイソーで取り扱われていたことがあり、「ダイソー緑」として日本の耳栓界では親しまれた物です。安眠対策として多くの人の支持をうけました。現在は取り扱われていません。しかも形が、スペースシャトル型ですので、加工用途には向きません。下のオレンジは日本人の耳には大きすぎます。

他にもワンタッチで挿入できるように棒が仕込んである製品、落とさないようにひもが付いている製品、段々が付いている製品などは、イヤーピースの改造には向きません。

では、どの製品がよいのかというと、加工しやすさと、値段が安い、入手が用意であることから、以下の製品をお勧めします。

Moldex earplugs

Moldex社の製品です。黄色の紙包みには言っているのはグリーンの耳栓、Pura-fitです。透明なビニール袋に入っているのは、Spark-Plugsです。Moldex社の製品は遮音性が高く、この2つは柔らかい製品で人気があり、日本でも通信販売で簡単に入手できます。1組50円から80円くらいが妥当な値段です。私は自分で使う分を大量に個人輸入したので、一つ30円くらいでした。

特にPura-fitをお勧めしておきます。理由はSpark-Plugsは白ベースにカラフルなマーブル模様がきれいな耳栓なのですが、この白も蛍光色で退色しやすく、ウレタン本来のうす茶色へ戻りやすいためです。これはどの耳栓もそうなのですが、派手な色は蛍光色で退色しやすいのです。もともと、使い捨て目的なのでしかたがないのです。Pura-fitの緑もしばらく使っていると鮮やかさは無くなりますが、緑は緑として残ります。

どちらも標準的なアメリカンサイズですで、1組から、イヤーピースを2組作成できます。

入手は検索してください。Yahooの通信販売でも、オークションでも、その他の通信販売のところでも、今は取り扱っている場所は結構ありますよ。

ポンチとハンマー

穴あけポンチは、何用途でも使用できます。耳栓は柔らかいですから。一般には皮用で売っています。大きさは4mmを購入してください。

私は百円ショップのダイソーで見つけた物を使用しています。4mmと5mmのセットで100円+消費税でした。

punch

ハンマーは何でもかまいません。それほど強く叩く必要もありませんので、百円ショップの製品でも十分です。

作り方

まず耳栓を横につぶします。この時引っ張らないように、形を崩さないように平たくつぶします。

pinching eraplugs

こつは、ゆっくりと、偏らないように、全面的に少しずつ平たくします。力を込めて一気に平たくすると、ゆがんだまま平たくなります。そうすると真っ直ぐに切ったつもりでも極端に曲がって切れてしまうのです。切る部分だけでなく、全体を平たくするのも同じ理由です。全体的に均一につぶしましょう。

pinched eraplug

こんな感じにつぶれたら、はさみで切ります。

cutting position

はさみで切断する場所です。真ん中の線がカットする位置です。頭の細い部分を若干長めに切ります。

cutting eraplug

良く切れるはさみでないと、作業しづらいですよ。切り口が汚くなります。ウレタンが元の形に戻ろうとしますが、はさみの根本の部分を利用しゆっくりとあわてずに切りましょう。特に最後の部分はふくれたウレタンのおかげで曲がりやすいですので、うまくやってください。とはいえ、それほど厳密な物でもありません。

cut earplug

切れました。ふくらむのまちましょう。作成時間のほとんどは、このふくらむのを待つ時間です。この間にもう一つもカットしましょう。何個かまとめて作業すると効率的です。ただし、最初は失敗しがちですので、一通り作ってから、まとめて作成することには挑戦しましょう。

back to original form

はい。戻りました。それでは、穴あけ作業に移りましょう。

まず、縦につぶします。ここも慎重に少しずつゆっくりとつぶします。いびつにつぶすと、穴が曲がったり、斜めになったりします。まあ、失敗から学ぶことも多いので、一回やってみるのも良いかもしれません。

push eraplug

コツは、回しながらゆっくりと押しつぶすことです。私は右の指で上下から挟みながら、左の指で少しずつ回しながらつぶします。

pushed eraplug

こんな風になります。指先は荒れていますが、ピンぼけで分かりません。

では台を用意してください。堅い床でも良いですが、穴を開けないように厚く紙を敷きましょう。電話帳でも良いですが、力が逃げるために穴は開けづらいかもしれません。やはり何か適当な木製品の上に紙を10枚分程度にやるように敷くのが、開けやすいと思います。コピー用紙2枚を別々に8つ折りにし重ねれば16枚分の厚さになりますね。簡単です。

用意ができたら、つぶした耳栓の中心にパンチを合わせ上から叩きます。力一杯叩く必要はありません。釘を打つ要領で一回叩き、様子を見ましょう。貫通してないようなら、更に軽くたたき直せばすむことです。

earplug with a punch

はい、空きました。

punched earplug

こんな感じになります。

punched earplug

残りの耳栓も同じ要領で穴を開けてください。開けたら、しばらく待ち元の形に戻るのをまちましょう。(いや、だから、作成時間のほとんどは、待ち時間です。)

開け終われば、あとは装着しましょう。以下の写真は耳栓をカットした2つのうち、根本のほうを装着しています。

穴に合わせ、挿入します。やさしくしてください。とはいえ、ある程度無理矢理押し込まないと入らない部分もあります。

push housing into a hole

通したら、先が数ミリでるところまで一度押し込みます。これで安定します。穴は4mmですが、本体部分は5mmあります。根本のほうへ一度押し込んでおけば外れなくなります。

inserted housing

変形してしまった場合は、ちょっと待ちましょう。復元したら、少しずつ引っ張り、先頭よりちょっと飛び出ている程度に調整します。

pull up earplug

こんな感じにセットします。

set up position 1

別の角度から。

set up position 2

これより低い位置で、スピーカー部が出過ぎていると、押し込んだときに耳の中を痛める可能性があります。また、逆に引きすぎると、ウレタンがスピーカー部より出る音を防いでしまい、音質が変化してしまう可能性があります。

上記は2つにカットした根本のほうですが、先頭のほうを付けるとこんな感じになります。

set up position 3

やや細くなります。細くなると言うことはウレタン量が少ないと言うことですので、カットする際、長めにしたわけです。長めのやつを押し込んだ状態でちょうど良いクッション具合になります。ですから、細いですが、きちんと位置をホールドしてくれますよ。

これでできあがりです。装着する際は、耳栓を軽く押して、細くすると入れやすくなります。

when insert into a ear

ちなみに、これはpura-fitで作成しましたが、Spark Plugを利用すると、こんな感じになります。

spark plugs version

派手ですが、耳に入れる方ですので、それほど目立ちません。

まあ、IE8向けの情報として紹介しましたが、実際は大抵のカナル型イヤフォンで利用できます。

写真付きで大層な感じで説明しております。

手順だけをみると、簡単です。けど、試行錯誤した経験による、私の今までのノウハウが詰まっております。

イヤーピースがどうも耳に合わない。イヤーピースごときに高い金を払うのはばからしいとお考えの貴兄に。

是非お試しください。付け心地は抜群です。;)

追記:

ウレタンは使用し続けていくとへたってきます。へたるとは柔軟性が無くなり、元の大きさに戻らなくなることです。そこまで使い込まなくても、安いですから、適当な時期に交換しましょう。私の場合、1週間ごとに交換し、外した方は洗っておきます。それで、2ヶ月くらい使ったら新しいものと交換しています。

洗い方も一応説明しておきます。

1.まず水かぬるま湯を含ませます。皿洗いのスポンジのようにもまないでください。へたります。水流にくぐらせ、ゆっくりと数回もむだけで、十分に含みます。落とすべきは表面の汚れです。内部に水を含ませておくことで、内部側に汚れや濃い洗剤がしみこまないようにしておきます。(皿洗いのスポンジに含めた洗剤を洗い流そうとすると、なかなか流れないでしょう?)水を含むと、やや大きくなります。

2.石けんで表面を洗いましょう。ウレタンは石けん程度のアルカリではへたりません。揉み込まないように注意します。とはいえ、やや押さえないと洗えませんけれどね。

3.石けんを流しましょう。まず、内部に入りすぎないように表面の石けんを易しい水流で落としてから、押して水を含ませ、また押して水を含ませを数回繰り返してください。やさしく押してくださいね。

4.軽く押して水を切ります。タオルで水分を吸い取ります。最後にティッシュ数枚をくるみ、強く握って数十秒、水分をティッシュに移します。

5.直射日光に当てず、熱風にも当てず、自然乾燥してください。乾くと元の大きさに戻ります。

まあ、慣れれば数分の作業です。

あと、音質がどう変わるかを書き忘れましたね。私の場合ですが、簡単にベストポジションに落ち着くのか、いつ聞いてもベストな状態です。最初に聞いた感じか、よみがえりました。一番音は良いです。まあ、付属のイヤーピースを利用してベストポジションに挿入したときと同じ音がします。


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コメント

“IE8、イヤーピースの自作” への2件のフィードバック

  1. toshiのアバター
    toshi

    初めまして! ここのところ、見事にヘッドホンスパイラルにはまり込みまして、1ヶ月前にIE8までたどり着きました。(笑)
    このヘッドホン自体の音はものすごく自分の好みに合ってて好きなのですが、いかんせん、いろんな所で書かれているように付属のイヤピースがどれも自分にはしっくりこず、悩んでいたところでした。
    IE8に関するHP等をいろいろググり、こちらを発見、「これだ!」と思って早速紹介されている耳栓10個と工具一式を買い揃え、本日第一号機を作成致しました!!
    今、それをつけて音楽を聞きながらコメントを送らせていただいてますが、「最高」です!!
    まず、耳栓の遮音性が素晴らしい上に、フィット感も良く、低音もそのまま生きてます。なおかつ驚いたことに、付属のイヤーピース(私はシリコンを使ってました)に比べ、高音がすっきりとクリアになり、これは予想以上の副作用?でした。
    これで、IE8を最高の音で楽しめそうです。
    本当にありがとうございました、大変参考になりました。今後もちょくちょくブログを拝見して勉強いたしたく、どうぞよろしくお願いします。
    まだ、試されていない皆さん、この方法、絶対お勧めですよ!!!

  2. HiroQwsのアバター
    HiroQws

    コメントありがとうございます。

    しっくりいったようで、おめでとうございます。

    人によっては耳の穴の大きさや、固定される方向が、ここで紹介している耳栓を利用するやりかたでは合わない人もいるのでしょうが、柔らかさゆえに、合う人も多いはずです。

    他のイヤフォンでも応用が聞くやり方ですし、コストも安いですから、やったこと無い方は、チャレンジしても損はないと思います。

    ちなみに、私は耳栓メーカーから、一銭ももらっていません。 😀