拡張型心筋症になってしまいました

ゴールデンウィーク前から体調はいまいちだったのですが、連休中に私の状態を心配して上京してくれた弟に説得され、休日でも緊急治療をやってくれる近所の昭和大学病院で診察を受けました。咳を止めて欲しかったからです。

最初は、結核の疑いで検査結果が出るまで小さな部屋に2時間押し込まれ、疑いが晴れるとレントゲンを見ながら若いお医者さんが「心筋梗塞の疑い」があると告げられ、「入院してください」でそのまま入院となりました。

連休中だったので担当医はしばらく決まらなかったのですが、その間若いお医者さん達が慣れない手つきで聴診器を当て、「連休当てに担当医が決まります。検査も色々します。がんばりましょう」と同じ台詞を繰り返していきました。多分、研修医かポリクリさん達だったのでしょう。

その間中に一人、若い男性のお医者さんが、「どうせ、高血圧をほおっておいたんでしょ。ただの、高血圧性の心不全ですよ。」と言い切りました。

その後に担当になった女医さんは、最初はこの若いドクターと同じ感じでしたが、どうも検査が進むうちに、「高血圧だけではここまで心臓がやられることはない」となり、邪険な感じもなくなり、検査の途中からは「心筋症疑い」となりました。

こちらは入院しており、移動も入院している階の中だけに限定されていたため、情報を集めることも出来ず、ただ検査の日々を送りました。

治療は心不全の一般的な方法らしいでした。安静を第一として、心臓の負担を軽くするために、利尿剤を投与するというものです。最初の一週間はほとんどこれです。後は心疾患ですとお馴染みらしいお薬を数種類処方されました。

最後の検査が、カテーテルを足の付け根の血管から入れ、心臓の圧力や造影剤を流しての撮影、最後に心臓の組織をちょっと取って検査をすると言うことでした。組織を取っての検査結果が一週間かかるとのことで、退院して後で結果を教えてもらうことになりました。

一週間後、結果を聞きに行ったら「生体(組織を取っての検査のこと)も拡張型心筋症じゃないかと言っています」という、やや曖昧な言葉遣いで、断定されました。

その後、先生の話や私からの質問で、内容が分かってきました。要は心臓の壁が圧力で薄くなり働きが悪くなるとのこと。(ただし、直接な原因が血圧であるとは、調べる限り説明しているサイトは見つからなかったので、いささか正しい表現とは言い難いですね。)悪くなる一方で、治ることはない。これから、不整脈が出てくるので気をつけること。薬は病気の進行に従って増えていく。こんな感じで説明を受けました。

よくよく考えれば、入院中に今どんな状態とか、どこが痛いかとか聞かれたことは一回もなかったので、退院後の自分の体調について、「今までよりも重い。息が切れやすくなった。ときどき立ちくらみがする降圧剤の影響かな」くらいしか考えていませんでした。まあ、しらべたのは処方された薬についてだけでした。

さて、自分の病気について知らないと、これからどう生活していったらいいのか把握できません。何せ、「どのくらい体が動かせるのでしょう?運動の負荷テストが同じ年代の75%で良好だったと言われても、どのていどか分かりません」尋ねたら、「Metsという単位がある、インターネットでも調べられます。有酸素と無酸素が入れ替わるのが35Mets、限界が75Metsでした。スポーツジムとかに行くとこの運動は何Metsとか書いてあります。」とのこと。まあ、この文章をお読みの方は「心臓病なのにスポーツジムに行くのか!」とつっこむ人もいるでしょうが、本当のつっこみ所は35とか75Metsもの能力を持っているなら、私は絶対に心臓病では無いのです。調べてもらえば分かりますよ。

多分、小さく印刷されていたので小数点を見落としたか、別の意味の数字をMetsと勘違いして伝えたのでしょう。それと、医者とはいえ何もかも知っているとは限りません。Metsの意味について本当はよく知らなかったのかもしれません。人間自分の得意分野だと、たまたま知らないことがあっても素直に言えない場合もありますものね。調べた今、私はMetsの意味を聞かれれば、簡単に相手に意味を教えてあげられます。そんなに説明しづらい難しいものでもありません。ネットで患者に調べさせるほどのことでもなかったです。

もしかしたらですが、先生の説明が素っ気なかったのは私が転院することになっていたかもしれません。担当医が決まったときにこの女医さんと多少話したのですが、その内容から今までの仕事は続けられないのは分かりました。続けられないと家賃も払え無い状況になります。会社は面倒見の悪い会社でしたから、体が壊れたら事実上、無収入なのでした。そこで入院した初めのうちに、相談の上、田舎へ戻ることが決まったのです。それと弟と母親が交代で看病に来てくれたのですが、田舎からわざわざ来てくれていたので、負担が大きかったのでした。それもあり、田舎の病院へ可能なタイミングで転院したいのだがと伝えていたのが、原因かもしれません。大学病院とかは特に自分の元で治療を受けない患者には冷たいところがありますからね。

まあ、とにかく、拡張型心筋症について勉強し始めたわけです。書籍がほとんど無く、インターネットからの情報が頼りでした。

それで、やっと自分の症状がどういうものであるのか、本来の症状と薬の副作用の違い、もしくはどちらの可能性もあるとか、理解できたのです。

最初は、5年後の生存率が30%とか書いてあってうちひしがれました。どうも古い資料を基にして書かれているHPやブログが結構あるようです。多分15年くらい前の資料でしょうか。現在は5年後の生存率は80%近くあります。

拡張型心筋症は難病に指定されているそうです。そのなかでも、都道府県の単位で治療費を補助してくれる制度があり、負担自体は入院しても一ヶ月2万円ちょいの金額で済みます。外来で薬が増えても月1万円ちょいですか。

難病に指定されているのは特発性拡張型心筋症という名前になっています。この病名は、特発性が「原因不明」をあらわします。原因がはっきりしているものは特発性ではありません。その後、複数要因で起きる心疾患であると考えられるようになったため、特発性という言い方はしなくなったようです。

心身症自体は3タイプに分けられています。心筋が厚くなるもの、堅く縮むもの、それと薄くのびるものです。厚くなるのは肥大型で遺伝が主な要因らしいです。堅く縮むタイプは症例が少ないそうです。で薄くのびて心臓が大きくなるのが拡張型なわけです。

心不全は心筋梗塞など4種類ほどメジャーなものがあり、特に私のように心臓が拡張していれば、心筋梗塞から順番に検査で可能性を落としていき、最後に「理由が分からない」「どれにも当てはまらない」となると最後の可能性として「拡張型心筋症」と名付けられる感じでしょうか。心筋症は症状であります。心筋病ではなく心筋症なので、将来技術が進んだら、もっとはっきりと分けることが出来るようになるんでしょうね。

この病気、基本的にはゆっくりと進行していき完治しません。進行していくと不整脈が発生するようになり、突然死してしまう可能性もあります。進行に従って、場合によりペースメーカーを埋め込んだり、心臓の手術を行うそうです。根本的に直すためには心臓移植しかありません。心臓移植は日本では2カ所でしか事実上出来ません。健康保険がきくのが2つの病院だけなんだそうです。莫大な金額がかかるので、その他でやれる人は少ないでしょう。もっと切実なのは、ドナーが見つからないこと。運良く見つかって心臓施術が成功しても、拒絶反応を抑える薬を一生飲み続ける必要があり、免疫系を抑えるため病気にかかりやすくなるそうです。どっちにしても完全に救われないのです。

そこまで進行しないでも、私のように心不全状態から小康状態になったら、何種類かの薬を飲み、病気の進行を抑えることが、出来るようになり、それが生存率のアップを引き起こしているそうです。今回、転院先でお世話になることになった先生の話では、前の先生が言った「良くなることはない」と断定は出来ないそうです。通称、アーティスト剤という薬がありまして、基本的には降圧剤なんですが、その効果が拡張型心筋症などによる心不全に効果があるので処方されるのです。そのため、前の病院でも途中から処方されたのですが、これが良く効く人ですと回復する可能性があるそうです。まあ、完治では無いでしょうが。

それと、心臓移植以外の新しい治療方法も研究が進んでいます。この病気の75%くらいだっかな?自分の心臓を免疫系が攻撃してしまうのが原因の一部らしいので、その抗体だけを血液中から取り除く、ドイツからの方法なんかも研究中だそうです。日本でも似たような技術もあるらしいです。(たとえ仮にほかの病気と同じ治療法が使えると分かっても、すぐに保健医療の対象には日本ではならないのですよ。以前より認可のスピードは上がったのでしょうか?)

心臓を再生させる可能性もありそうです。一度動かなくなると、心臓は細胞が欠損したり、繊維化してしまい、そのために治らないと言われているそうなんです。それを体の外、もしくは直接体内で細胞を再生させられル要になる可能性はあります。今まで、心臓の筋肉は生後すぐに完成し、成長に従い細胞が大きくなるもので、新しく入れ替わることは無いと考えられていたようですが、ここ最近の研究結果ですと、一年に1%程度は入れ替わるそうです。それを考えると、可能性が全くないわけでは無いですね。

いずれにせよ、長生きして新しい医療が完成されるのを待ちましょう。それまで生きていていたいと思える世の中でありますように。


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