病院も患者のプライバシーやコンプライアンスに力を入れてきているのは分かりましたが、大学病院などの若いスタッフが多い所では、本当に理解されてはいないのだろうというお話です。
さて、緊急入院という事になりましたので、準備もそこそこにベッドにくくりつけられることになりました。しばらくは、安静とのこと。
夜の入院となったので、翌朝、看護師さんから説明を受けました。
その時に、病院では患者さんのプラバシーを守るので、例えば病室でナースの交代時、引継ぎの時にも患者さんの個人的な話はしないとの説明がありました。本来、当然といえば当然のことですが、それをいちいち入院患者に説明する時代になったのですね。
話は飛びまして、入院も中盤に差し掛かった頃の事件です。その頃には、携帯型の心電計だけでしたので、入院している階だけは、歩きまわって良いことになっていました。
それまで、隣のベッドは開いていたのですが、新しい患者さんが入院してきました。耳鼻科での手術を受けられたようでした。
その夜、目の前がチラチラするのです。眠りが浅くなって、目をつむっていたのですが、チラチラするので目が覚めて、しばらく何事かわかりませんでした。眠ってから3時間後のことです。
目を開いたら、天井が赤くなったり、黒くなったりしていまして、一瞬火事でも起きたのかと思いました。もう少し、目がさめてみると、隣とのカーテンもチラチラしています。
この新しい患者さん、夜中にテレビを付けていたのでした。もちろん、消灯時間中ですので本来禁止です。
そのうち、看護師さんが見回りに来て、注意するだろうと、ほっときました。しかし、目が覚めてしまい、起きて、ごそごそするのも、他の患者さんに迷惑がかかりますから、ラウンジへ行くことにしました。毛布一枚持って、本を読むことにしました。
そこに看護師さんがやって来て、「眠れないのですか?」と尋ねられました。事情を話しました。注意するとのことです。私は、他の患者さんが起きると悪いので、急がないよと伝えておきました。
翌日、朝の検査の時に看護師さんから注意しておき、本人も反省して、もう夜中には見ないとのこと。これで解決と思いましたが、いやいや。
それから、この患者さんは段々と看護師や病院に対して反抗的になっていきました。例えば、看護師さんのやることにケチを付け、「これはこうするべきだ」といちいちクレームをつけ出したりし始めました。その態度をみて、「ちゃんと注意しなかったな」と分かりました。
その患者さんを最初から冷静に見て感じていたのは、この人は、毅然とした態度で「悪いことは悪い」と注意しないと、逆に反抗的になるタイプだなと思っていました。中途半端に諭すと、自分の正しさを証明するために他人を攻撃するタイプです。この患者さんの態度の変化で、最初の注意は優しく「だめですよ」と言った程度だったのだろうと、推測しました。
この日、ナースの朝の交代時、耳鼻科で手術を受けた人は、歩けますので同じ階の診療室へいきます。その時がナースの交代時間です。各患者さんのベッドをまわって引き継ぎが行われます。
この患者さんの引き継ぎ時に「~さんは、小学校の時精神科に入院していたことがあって、どうのこうの…」
おいおい、個人情報だだ漏れじゃん。 😀 しかも、引継ぎの時、患者の個人的な話はしないとわざわざ説明していたのに、守っていないじゃん。なんで入院時にわざわざ例を上げてまで説明したんだ?
一つは、大学付属病院でほとんどの職員が若く、習った知識と現実の対応がまだ結びついていないこと。また、若い人中心のため、経験から教えてくれる中堅の看護師さんが存在せず、そのため有益な経験が代々伝えられていかないのであろうと、ひとりで納得しました。
どこの病院であっても似たような状況はあると思います。気をつけてくださいね。
さて、二日目の夜です。また、チラチラするので、目を開けると、TVがついています。看護師さんが見回ってくる時間は消して、その後またつけているようでした。この日も眠れませんでした。
これで、やや私も切れてきましたので、ナースステーションに乗り込み、宿直担当の看護師さんに事情を説明、「二日目なので、どうにかして欲しい。きちんと指摘しないと、こういうタイプの人は治らないよ。」と力説、「看護婦長から注意させる」とのこと。その時は、ぼうっとしていたので、気が付きませんが、朝になったら、今日は土曜日で、婦長は土日休みだから、誰が注意するのだろうと疑問に思いました。
後から報告で、「TVカードは払い戻した。もうやらないと約束した。」とありました。寝不足が続いていたのですが、患者さんの性格や若い看護婦さんが多く、押しの強い人はいないので、きちんと注意していないだろう、だからまた繰り返すだろうと推測していました。
さて、
さて、三日目です。案の定です。夜中のテレビの明かりで起こされました。もう完全に切れました。私は本来、ここまで怒ったら誰であろうと直接その人に怒りをぶつけます。しかし、病院ですから、抑えました。
そこでラウンジで休んでいたら、看護師さんが来て事情を聞かれたので、説明。「いい加減、3日目なのでどうにかして欲しい」と言いました。多分、この日もまた「優しく」注意したのでしょう。
病院では、体を拭くためのおしぼりが用意されており、自分で拭ける患者さんは自分で拭くシステムになっていました。普通に体を拭く為のものと、下半身専用のものと、色で分けてあります。
この3日目、問題の患者さんは、下半身用のおしぼりに毛が入っていると看護師さんにクレーム付けていました。わいわい騒いで、一人の看護婦さんに話したあと、別の看護師さん。それから、ナースステーションに行き騒いでいました。
タオルは一つ一つビニールでくるまれており、私も使っていましたが、今まで毛が入っていたことはありません。まあ、入っていても、消毒されており、高温でむされているので、ほぼ無菌状態のはずです。わたしは、気にしません。
騒いでいるのが、鬱陶しいので、ラウンジに行っていたのですが、ナースステーションで騒いだあと、ラウンジにいる私のところにして、この件を訴えてきたのです。ほとんど無視しましたが、そしたら別の患者さん、その次に別の患者さん、ラウンジにいる人に次から次へと、病院の管理体制についてごちゃごちゃ言ってました。
私が、約一週間、使っていても、入っていなかった毛が、彼が選んだものには、ほとんどの物に入っているとのこと。どう考えても、仕込んだとしか考えられません。
これで、私は完全に切れました。彼は今度は、事務局で訴えるとエレベーターで下に行ったようでしたので、病室に戻り、看護婦さんに「三日目なのでどうにかして欲しい。あのバカはラウンジに居る患者にまで馬鹿な話をし始めた。これじゃ体調が良くなるどころか、かえって悪くなる。これじゃ、入院していてもしょうがない。解決できないのなら、自主退院させてもらう。」と怒り爆発です。
担当の先生も事情を知って、私を説得に来ました。なにせ、最後の大きな検査が残っていました。カテーテル通して心臓の筋肉を取り、直接検査するそうです。その結果がどうであろうと、これからの治療は変わらないが、病名を決定するために必要とのこと。それを事前に聞いていたので、やってもやらなくても、同じ検査なら受けなくてもいいだろう、解決されなければ、明日自主退院すると言い切りました。まあ、本当にそのつもりだったんです。なにせ眠れていませんでしたから。
その日に何が起きたかというと、まず事務局長、ですが、見た目まだ20代後半の人がその患者さんのところへやって来て、謝罪し、お詫びとして、空いている個室に移ってもらうとのこと。謝罪なら、本来こちらにだろうと思っていましたが、とにかくこの患者がいなくなれば、眠れます。
そして、病室を去っていき、私は4日ぶりに安眠できました。翌日、担当の看護師さんが眠れたかと聞きに来たので、満面の笑みで「やっと眠れた」と答えました。そうしたら、この問題の患者さんのせいで私だけでなく、同じ病室の他の人も起こされていたのが、私が大騒ぎしたおかげで、わかったそうです。
そして、看護婦長と、事務局長が謝罪にやって来ました。まあ、解決されたら構わないよと答えましたが、原因の根本は若い人が多く、毅然とした看護師さんがいないため、きちんと注意できる人がいないことだと理解できましたので、それが改善されない限り、同じ事は起きるだろうと思いました。
この日、お昼すぎ、ベッドの上でうとうとしていたら、その患者さんが私のいた病室の全員に謝りに来ました。どうやら、個室に移したあと、彼の母親に連絡がつき、彼女から叱られたようです。まあ、私より上の50歳くらいの男性でしたけれど。 😀 今更謝罪されてもというのと、眠っているのだから頬っておいて欲しいという気持ちで、生返事になってしまいました。
そして、彼は一週間位の入院だったはずが、早期退院させられる事になったようでした。病院としても、職員だけでなく、周りの患者に迷惑を掛ける人を、入院させておくわけに行きませんものね。個室料金も取れないでしょうし。
めでたし、めでたし…でもないですね。普通のレベルの病院なら、こんなことは起きないでしょうから。 😛