Wet Shaving Productsの定番商品の中では「甘め」な香りは少ないのですが、このCitrus Blastは唯一の「お菓子系」と言ってよいファンキーな香りです。
今までCitrus Blastはビーガンバージョンしか一般販売されていませんでしたが、獣脂を使用したフォーミュラTのバージョンもテスト販売されることになったので、速攻購入しました。Wet Shaving Products(以降はWSPと略す)のサイトから直接購入しました。(実際は、メルマガやFacebookグループでリンクが紹介されて、そこから会員オンリーとして販売はされていました。)
下の画像は、WSPの商品ページへ飛びます。個数限定販売のため、売れ切れの際はリンク切れになるかもしれません。ご容赦ください。
届いた商品のフタに貼ってあるラベルは、フォーミュラTのものではなく、ビーガンバージョンのものです。まだ、テスト販売中なのでラベルは間に合わなかったものと思います。代わりに、外を覆っているラップに成分表のシールが貼ってあり、容器の裏に手書きでFTと書かれています。
色はややオレンジがかっています。着色料は使用されていません。WSPのソープの多くはこのような薄いオレンジ色から白に近いものが中心です。
香り
- トップノート:レモン、ライム、オレンジ
- ミドルノート:苺、クロフサスグリ、ジャスミン
- ベースノート:サンダルウッド
香りを一言でいうのであれば、「オレンジ味のゼリービーンズ」です。ゼリービーンズを頬張ると、各色に合わせた味付けの香りがしますが、同時に「ろうそく」のような香りもします。それは、ミツバチが巣を覆うために分泌する「蜜蝋」により、艶出しとベタベタしないようにカバーしているからです。
レモン、ライム、オレンジを使っているため、商品名の「Citrus Blast(柑橘が弾ける)」のとおり、柑橘系の香りが先に立ち上ります。この3つのうちのどれかが強いというよりも、中間的な感じです。最初に香るトップノートは3種類の柑橘系ですが、間をおかず苺の香りが混ざります。
ですから、ゼリービーンズのレモン味1つ、ライム味1つ、オレンジ味1つ、イチゴ味を2つまとめて食べたような香りです。
私がゼリービーンズの「ロウ」のように感じた香りは、柑橘系の香りと混ざった時の苺の香りでした。「これは苺だ」と思って嗅げば、確かに苺です。
他に含まれているクロフサスグリという植物は、カシスの別名でした。カシスと言っても実ではなく、葉や茎から取った精油の可能性があります。葉や茎からは猫の尿のような香りがし、その精油はアクセントとして香水などでブレンドされます。調香する場合に深みを出すため、悪臭をアクセントとして使用することはよくあります。
もしカシスの実の香りだとしたら、他のフルーツ香と混ざり、判別できません。
ジャスミンの香りは苺に混じり、かすかに感じる程度です。ベースのサンダルウッド自体は嗅ぎ分けられませんでした。苺と混ざり、それを私は「ロウ」のように感じたのだと思います。
柑橘系の香りを苺がまとめ、それだけでは甘いので、ライムと柑橘以外の香料で少々ビターに仕上げています。
もちろん、ゼリービーンズのように、ただ甘いわけでありません。深みもあります。
重い気分を吹き飛ばしたいときや、朝に自分のエンジンを一気にかけたい時に使えそうな香りです。
ゼリービーンズの香りが嫌いな人にはおすすめしません。フルーツの甘い香り好きな方は、大好物でしょう。
WSPのソープの中では、香りが強めについています。というよりも、印象的な香りのため、強く感じてしまうのかしれません。
大抵のソープと同様に、香りが逃げないようしっかりとした入れ物に入っています。パッキンは使っていませんが、フタをしっかりと閉めると今度は開けるのに苦労するほどきつく閉まります。連用する場合は開けやすいように軽めに、ローティーションでたまに使用する場合はきっちりと閉め、香りが飛ばないようにしましょう。
構成
「ステアリン酸、水、獣脂、ココナッツオイル、水酸化カリウム、グリセリン、シアバター、香料、水酸化ナトリウム」
細かい泡立ちのステアリン酸にココナッツオイルを合わせる標準的な組み合わせです。ステアリン酸、ココナッツオイル、獣脂を使う石鹸は固めになるため、柔らかい石鹸を作るアルカリ性分の水酸化カリウムを多くして、溶けやすくしているのでしょう。
WSPで商品を作成している、経営者のLeeさんは、開発中にできあがったソープが肌に突っ張るとき、シアバターを後から追加する人ですので、シアバターは鹸化されているのではなく、しっとり感を出すための油分として加えているのだと思います。
成分に関して、特に奇をてらっているところはありません。
使用感
指で押せばわずかにへこみます。やや固めのソフトソープ、もしくはハードソープの柔らかめといったところでしょう。フレンチタイプのソープですが、固さはイタリアンタイプくらいです。
ラザーリング前に、あらかじめお湯で柔らかくしておく必要はありません。溶けやすいソープです。また、容器にはソープが満タンに充填されているので、さほどお湯を張るスペースもありません。(小ロット製造のため、容器詰めも手仕事です。そのため、多少内容量に差があります。)
獣毛のブラシを使用するのでしたら、十分にお湯を振り落とし、その状態でも毛に含まれている水分で簡単にローディングできるくらい溶けやすいソープです。2パスなら10秒程度、3パスなら20秒程度で、十分な量のソープがブラシに取れます。
たっぷりとお湯を含ませたブラシでローディングするダンプメソッドは、ソープを摂り過ぎるので避けたほうがよいでしょう。缶は小さめで、新品の場合は特に容器上部に余分なスペースもないですから、ダンプメソッドは行いづらいです。
Simpsonのブラシのような、最近流行りの短いブラシでローディングして使うのに、最適かもしれません。少々コシのある小さなブラシでさっとローディングし、フェイスラザーするシチュエーションに合いそうです。
つまるところ、ブラシに含ませた水の量に対応した量のソープが簡単に取れます。ちょっと聞くと当たり前のように聞こえますが、シェービングソープを筆で取る場合は、なかなか素直に反応してくれません。WSPのソープは溶けやすいため、ローディング時の反応が素直です。
剃り心地は問題ありません。最高のクッション性と潤滑性があります。水分量による、滑りやすさの低下はなめらかです。ある種のソープは水分量がちょっと多くなると、とたんに滑らなくなりますが、フォームラTはそんなことはありません。パスを繰り返すうち、少々薄まってしまってもどうにか対応できる便利なソープです。
缶は小さめです。上部まできっちり入っているため、最初の頃は泡が缶の外へ溢れ出ます。もったいないから、ローディングが終わったら、直接顔へ伸ばしましょう。
何回剃れるか
剃り方により、使用できる回数はまちまちですが、公式には150から350回です。
WSPのビーガンバージョンに対するコメントですが、2パスで剃っている購入者が、半年使ってもまだ半分残っていると報告しています。髭が濃くなく、2パスで十分な方は1缶で約一年持つことになります。
しかし、シェービングソープを節約しても良いことありません。十分な量と濃さの泡でシェービングしましょう。せっかく「ウェットシェービング」の様々な恩恵を受けられるのです。(ただし、製品はシェービングソープとして優秀で、薄めでも滑りがよいので、「クッション性より滑り重視」の方針の方は、特に長く使えます。)
製品自体は送料を含まなければ、繰り上げて15ドルです。150回なら5ヶ月持ちます。一ヶ月3ドルです。一日10円ちょっとです。実際には、150回以上持つでしょうから、送料分を入れて一回10円といったところでしょう。一回10円で快適なシェービングと香りによる気分向上が経験できるなら、安いものです。