Feather、輸入した両刃の替刃は偽物か?

日本国内で比較的簡単に入手できる両刃カミソリの替刃は、現状フェザーのハイステンレスだけです。他には貝印もありますが、日本中津々浦々で入手は困難です。国内で販売はしていないようですが、替刃だけを製造し、輸出している工場は存在しています。ただ、なぜか両刃の替刃は表に出ていないようなので、もしかしたらフェザーか貝印のOEM元ではないかと、想像しています。

フェザーの替刃は切れ味が鋭いことで、世界的にも有名です。自社フォルダーが「肌に優しい」ように設計されており、鋭い替刃と組み合わせると、ちょうどピッタリの剃り心地になります。その代わり、刃の鋭さがなくなると、すぐに深ぞりできなくなりますが、仕方ありません。

他のブランドの肌に直接切り刃がドンとあたる、優しくないホルダー、シェービング用語で「攻撃的(アグレッシブ)」なものと組み合わせると、その鋭さがよく分かります。鋭すぎて、最初の数日は逆に使いづらいです。(私の個人的な意見です。使いこなすヒントとしては、鋭すぎる刃で剃るとき、特に逆剃りしづらい場合は、角度を浅くするようにしてください。西洋カミソリ(ストレートレザー)のテクニックです。)

切れ味は良いのですが、値段は高いです。替刃の高級品と行っていいでしょう。現在のフェザーは、主要な販売アイテムは業務用が中心で、ハイエンド品ですから、値段が高くてもしかたない面があります。ただ、それで長切れするかといえば、そんなことはありません。私の場合、大体4から5回剃れます。中にはまれに3回でダメになったり、6回以上切れるものもあります。これは他のブランドの替刃と大差ありません。

たぶん、切れ味が良い分だけ力を抜き、ゆっくり剃れば、長切れすると思います。しかし、あまり力を抜くと、カミソリ自体のコントロールを誤ったり、ぶれたりするので、カミソリ負けや傷を作りやすくなります。結局、私の場合は他の替刃と同じ程度の力加減になってしまいます。

値段が高いので過去記事で、ハイステンレスを輸入する方法を紹介しました。その記事の内容も古くなり、現在ではebayで購入したほうが安くなります。100パックで20ドル台から30ドル台前半の値段が付いているのは、タイからの輸入になるようです。

これが偽物である可能性が高いとの噂が英語のブログやフォーラムで流されており、そのまま信じている人もいるようです。海外版では5枚入りと10枚入りではパッケージの色が異なるのですが、これを過去に変更したときに混乱が起きたのも一因です。

先日、Wet Shaving ProductsのFacebookグループでこの話題が出ていたので、手元にある輸入品が本物か偽物かを見分けるために、10枚入りパッケージを近くのホームセンターで購入し、比較してみました。

結論から言えば、私がamazon.comで購入し、タイから送られてきた5枚x20パックは本物のようでした。プラスチック容器の出来具合、替刃の材質、包み紙の質や印刷の状況は、ほぼ一緒です。さすがに包み紙はオフセット印刷で、インクの乗り方が異なっていますが、これはロットによる違いでしょう。

一番大きな違いは、顕微鏡で約100倍以上に拡大すると研ぎ傷がはっきり見えます。製造的には「研ぐ」のではなく、グラインダーで削っているので、研ぎ傷という表現が合っているのかはイマイチ不明です。しかし、まあ研ぎであれ、研磨であれ、拡大すれば傷が見えます。

切り刃の先端で更に鈍角に角度を付け直すのを小刃とか、それが細い場合は糸切り刃とか言いますが、これもロットにより多少異なっているかと思います。ちなみに、大手は伊達に値段が高いわけでなく、最近のカートリッジではこうした小刃まできちんと精密に仕上げているようです。高い値段には宣伝費以外にも理由があるわけです。

まあ、小刃の付き方に多少の違いはあるにせよ、ハイステンレスと他のブランドの替刃を比較すると、この傷の細かさが全然違います。これが鋭さの違いを作っているのではないかと推測しています。

仮に輸入品が偽物だとしても、日本で購入したものと同じ細かさで仕上げてあり(実際は輸入品のほうがきれいに仕上がっているのですが…たぶん製造ロットの違いなんでしょう)、切れ味も変らないとしたら、まあ偽物だとしてもかまいません。

もちろん、タイから輸入する全てが本物であるとか、絶対に偽物ではないという主張ではありません。手元に届いた製品は、まず本物だろうという結論です。

ネット上には「偽物かもしれない」という噂が流れていますが、その割には偽物だと判別するポイントが説明されていません。ただ、使用感だけで判断されています。使用感は本人の思い込みの影響を大きく受けるため、本当に公正な気持ちで比較する人でないと、判定は難しいのです。しかし、わざわざ悪評を書き込んでいるユーザさんは、どちらかといえばエキセントリックな感覚の持ち主です。

近くの公共施設で電子顕微鏡も借りられますが、一時間2千円程度で、説明をしてもらうには4時間分で8千円かかるそうす。さすがに全部で3千円だった製品のチェックに、こんな金はかけられないため、電子顕微鏡でのチェックは諦めました。何かの機会に使うことがあれば、ついでにもっと詳しく調べてみようかと思います。


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