私流、ウエットシェービングのテクニック

あまり一般的でない、私が使用している両刃カミソリのテクニックを共有します。お役に立てば良いのですが。

スラント移動

「スラント(斜め)」という名前を含んでいる、両刃カミソリのホルダーがあります。通常はカミソリの刃を移動方向に対して垂直に収まるようにできていますが、少々角度を付けて収められるようになっているホルダーです。

固い食材を包丁で切るとき、まっすぐに上から刃を入れようとしても、なかなか切断できません。少々斜めに刃を入れると、切りやすくなります。

よほど砥ぎ上げた包丁でない限り、刃をずらすように押すか引くかしながら、力を加えたほうが容易に切断できます。

刃を斜めにすれば、少し刃をずらしながら切っているのと同じになります。そのため、力を入れずに切ることができます。切れ味が増すわけです。

スラントのホルダーを見た時に、別に専用ホルダーでなくても、移動方向に対して少々角度を付ければいいだけだと思いました。

両刃で切れ味の鈍い替刃を使うとき、切れ味の鈍った刃をもうちょっと持たせたい時に利用できます。ただ、微妙に刃が欠けた場合などは、もちろん怪我のもとですので、無理せず交換しましょう。

他の人の方法を参考にしたわけではありませんが、同じ考えの人がいることを後からネット検索で見つけました。まあ、誰でも考えつきますし、たぶん皆さんも自然とやっている場面があるかと思います。

根掘り

根掘りはもともと日本の床屋さんが和カミソリや西洋カミソリ(ストレートレザー)で髭を剃る時に使っていたテクニックです。わざと切れ味を鈍らせたカミソリで「ゴリゴリ」とこすりながら剃る方法です。

現在は衛生面により、替刃式のストレートレザーで剃る床屋さんがほとんどですので、若い人はほとんど根掘りでは剃られたことがないでしょう。しかも、男性でも理髪店よりは美容院という人も多いでしょう。さすがに、美容師さんではこの方法で剃れないでしょう。

実のところ、このテクニックを使ってくれた床屋さんにも、上手い下手がありました。下手な人にやられると痛くて、カミソリ負けもします。「切れ味の鈍い」は決して「手を抜く」ということではありませんが、切れ刃が整っていない荒れたカミソリでゴリゴリやられると、たまったものではありませんでした。剃る人より、剃られる人のほうが刃の状態はわかるものです。

特に剃りづらい狭い箇所を集中して剃るためのテクニックです。私達が利用するとすれば、順剃り・横剃り、逆剃りなどのパスを行った後でも、残っているような剃りづらい箇所を攻める時に使えます。

替刃は一枚一枚出来が異なります。たまにずっと長切れし、刃も荒れない替刃にあたることがあります。そうした刃の切れ味が落ちてきた頃が理想的です。皮膚にチクチクあたるような、荒れたり欠けたりしている刃では行えません。

全く新しい刃を目の細かい砥石やラッピングペーパーなどなどで少しにぶらせてから使う方法もあります。もしくは、あまり切れ味が良くないブランドの替刃を使う方法もあります。

切れ味が鈍っているからこそ、少し力を加え気味で剃っても、肌が負けず、剃れるのです。

実際の方法は簡単で、剃る箇所をいつもより少々力を加えて剃るだけです。狭い箇所を前後に細かく動かし、数回剃ります。その時に、前に1回動かし、その後肌からカミソリを離し、再度最初の位置から剃り直す方法は取らないようにしましょう。水分が少ない状態でこするとカミソリ負けしやすくなります。

剃る方向へ移動したら、最初の位置に戻すときも、刃を皮膚に触れたままにします。要は肌につけたまま、前後します。戻る時にカミソリに付いた泡や水分が、再度肌に戻ります。

少し水気の多い、つるつるした泡のほうが行いやすいでしょう。昔の床屋さんは、泡が消えかけた石鹸液をちょっと付けたり、水分だけを補給して剃っていました。私達が行う場合は、より安全策として滑りの良いジェルを使ったり、滑りの良いオイルを使ったりすることもできます。

腕の良い床屋さんは根掘りできれいに剃りあげられ、しかもカミソリ負けしませんでした。剃る箇所の水分を切らさない、肌を張るという基本を忘れずに、チャレンジしてください。

カートリッジ式のカミソリが、既定期日よりかなり長時間使える方は、自然と根掘り状態になっているかもしれません。

押し剃り

最後のテクニックは、私の完全オリジナルです。つまり、他のところで見たり聞いたり、経験したりした方法ではありません。まあ、似たような方法はネットを探せばあるかもしれませんね。皆、似たようなことを考えがちですから。

見聞きしたことがないため、名前に困りました。とりあえず方法の特徴から「押し剃り」と仮称を付けましたが、もっとかっこ良い名前があったら、そちらにしようかと思います。

両刃カミソリをみるたび、頭の部分の曲面がきれいに光っているのを見て、「せっかく鏡面仕上げをしており、つるつるしそうなのに、この部分が使えないのはもったいない」と常日頃思っていました。

ある時、「ここを使って押せば、肌は凹み、引っ張られる。引っ張られるということは、手添えをして引っ張るのと同じような状態だ。ならば、肌と刃の角度が適切にあたるように調整すれば、深ぞりできるのではないか」と思いつきました。

そこで、まず肌に対して真っ直ぐにあて、次に少しずつ傾け、髭に刃が引っかかる角度になったら、その状態で剃ってみました。すると、深くきれいに剃れました。

基本的に髭を立たせるには上部方向へ引っ張り上げる必要があります。顎や鼻の下は引っ張り上げる手とカミソリのハンドルがぶつかってしまうため、剃りづらかったのですが、この方法で簡単にきれいに剃れました。

具体的な方法を見てください。下図の赤はカミソリ、オレンジは肌を意味しています。

左が通常の剃り方です。カミソリと肌の角度が約30度になるように角度を合わせ、剃ります。

押し剃りの場合、黄色の矢印のように、肌にカミソリの上部を軽く押し付けます。すると肌は当然たわんで凹みます。凹んだ肌に合わせて30度の角度で剃るわけですので、紫の矢印のように普段よりは立てて剃ることになります。

具体的には、最初にカミソリのあたまの曲面部分を垂直に肌に押し付け、少しずつ角度をつけながら、多少前後に動かしてみれば、やがて肌に刃があたるでしょう。その角度とカミソリ自体を肌に押し付ける力を保ったまま、剃ります。

もちろん、力を入れたまま剃るわけですので、失敗すれば深い傷ができます。このテクニックを最初に見つけたとき、嬉しくて笑いながら、いきなり角度をつけたまま押し付けてしまい、ざっくりやってしまいました。

この方法でうまく剃るには、滑りをよくしましょう。泡がついていない乾いた箇所や、ねっとりして滑りが悪い泡では、この方法は取れません。肌を傷つける可能性があります。

ある程度のリスクはありますが、肌を張りづらい箇所でも深反りができますので、私と同様に「貼りづらい箇所を深剃りする方法」に悩んでいる方は、慎重に試してみてください。

最後に

あくまで個人的に使用している変則テクニックを紹介したものです。基本となる剃り方できれいに剃れるかたには必要ありません。

変則的ということは、気をつけなければ肌を痛める可能性があります。ただいま色々と新しい方法を試しているので、私は数日に1回カミソリ負けしたり、切ってしまいます。

そんなことにならぬよう、まずは基本です。基本でうまく行かない場合に、応用したり、新しい方法を考えたりしましょう。


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