日本製品は「安かろう悪かろう」から始まり、工夫を重ね、今では世界中から品質で一目置かれる存在です。中国はいかがなものでしょう。ストレートレザーについて見てみました。
そもそもは、ちょっとした確認に西洋カミソリ(ストレートレザー)を入手することにして、いろいろ調べたのが始まりです。私はコレクター資質が少ない人間ですので、アンティークには興味がなく、現状の製品に付いて知りたかったのです。
その一環として中華レザーも調べ、英語圏のフォーラムではちょっと前の情報としてGold Dallorが低評価でありました。実際に自分で試していない現在、やはり「安かろう悪かろう」ではないかと、思っています。(追記:評価の低い理由は「すぐ使えるように研いである」と商品説明されているのに、購入者の求めるレベルに達していなかったのが原因のようです。)
実家は昔、日本料理屋でしたので、うちには砥石がけっこうあります。しかし、レザーを本格的に自分で研ぐには番手が合いません。より細かい砥石を新たに購入する必要があるでしょう。いざ、本格的にストレートに乗り換えるとすると、砥石の出費が増えます。
今のところ数回利用するとは言え、常用するかどうかわかりませんし、本格的に利用することに決め、手番の高い砥石を購入後に自分で研ぐにしても、高い製品をいきなり研ぎたくありません。Gold Dallorの製品を見てみると、全製品ステンレスです。ステンレスは研ぐのが面倒というイメージがあるので、安いのですがGold Dallorを避けました。
次にTitanに目星をつけたら、日本円で3千円程度で想定よりかなり安いですし、スチールですし、条件に合うので、即購入しました。Aliexpressで購入したのですが、他のサイトで評判を確認したわけでありません。
少し気になったので、米アマゾンをちょっと調べて、ついでに価格の比較をしてみました。
Titanのハイエンド品
Titanは製品アピールに日本に関連あることを利用しています。製品説明では会社の歴史として「日本統治下の韓国で設立され、台湾に工場を移した」という説明がありますし、漢字の説明の中に日本語のかなを入れ、日本ぽさをアピールしています。まあ、日本人が設立に関わっているので、全く関係ないわけでありませんし、刃の原料はJapanナントカを使っています。(原料はけっこう謎で、海外フォーラムでも、時々取り上げられます。日本から輸入しているとか書かれていないので、なんとも判断つきません。)
歴史はあります。あと二年立てば創立百周年です。きっと記念の製品を出すと思います。
Titanは中国のストレートレザーではけっこう値段が高い製品を作り、OEMも盛んなようですので、直接”Titan”ブランドで海外展開していないようです。そのため、目立つブランドではありません。
ローエンドが鉄鋼、ハイエンドでステンレスの刃を作っています。
その中のハイエンド寄りの製品が米アマゾンで、OEM先のブランドにより売られています。
A.P. Donovan – Professional 7/8″ straight Razor – sandalwood handle – with strop
OEMですからスケール(ハンドル)の材質や加工、刃の形状、大きさ、ロゴの処理など、多少の加工は依頼者の要求に合わせてやってくれるでしょうから、Titanが直接販売している製品と多少異なるでしょう。たぶん、次の製品がベースとなっています。
free shipping Titan razor wooden handle hand made razor shaving sharp
そもそも、なぜ米アマゾンのこの製品を一瞥しただけで、「あっ、Titanだ」と分かったかといえば、おまけの革砥、独特のケースが同じだからです。スケールの形状と3つ付いているピンの位置、説明文中の刃の硬さの説明から、確信しました。
Titanは革砥を別の製造会社、スケールは多分スケール専門の会社から購入しているかと思います。ですから、中華ストレートのスケールは製造元が違っていても、デザインを含め、よく似通っています。(中国以外の国のレザー工場でも、中国から購入しているところは似てしまいます。もう一つのシェービング用品製造国のパキスタンも、国内にスケール専門で作っているところがあるらしく、製造元が異なっているのに、スケールはそっくりです。)
もう一つ、OEMを見つけました。こちらも高評価を受けています。
約70ドルですが、15ドルほど足すと革砥とワックスがついてくるようです。スケールの形と付属品から推測すると、Titanで40ドルで販売している、以下のセットが該当するようです。
革砥とセットで、Titanのセット価格より45ドル上乗せされています。
Titanは目立ちませんから、あまりレビューはないのですが、OEM商品は米アマゾンで高評価を受けているようです。もともと、ストレートレザーマニアの方々は、アマゾンから購入することはまずないでしょう。多分、私のように経験値の少ない素人の評価が中心でしょうが、「中国産=安かろう悪かろう」というフィルターがないと、ここまで高い評価になります。
AliExpressのTitanの商品ページをじっくり見た後、米アマゾンの”straight razor”検索結果を見てください。見覚えのある商品がたくさん出てきます。検索結果の低価格帯の商品はほとんどパキスタン製です。(Alibabaをじっくりと見ていたら、随分と勉強になりました。ちょっとした商品の特徴で見分けられるようになってきました。)
つまるところ、製品としてはそこそこの出来であると考えて良いようです。(ちなみに、おまけでつけている革砥もウオールマートやOEM先から販売されていますが、評判は上々です。皮の品質には文句をつけている人はいません。横幅がもっと広いほうが良いという意見が目立ちます。)
追記:Titanの製品は米アマゾンのウオールマートから販売されています。製品はちょっと古いようですが、コメントも評価も付いていません。eBayにはウオールマートブランドのTitan製品が販売されていますので、推測するにちょっと前まではOEMで供給を受け、現在はTitanブランドのまま販売しているようです。
Gold Doller 208
たまたま、今回最初に米アマゾンで見つかったのが208です。
Gold Dollerはマニアのフォーラムでは、評価が低めですが、米アマゾンでは高い評価です。やはり、中国製であることが表にでなければ、それなりの評価を得られるようです。
西洋カミソリに限らず、マニアは通常上級品やハイエンドを知っているので、新参メーカーに対しては辛めな評価になります。ところが、一般の人は「実用的かどうか」を基準に考えるため、使える商品は高評価を得ます。
アマゾンの評価をみる限り、十分に実用的なレベルには達しているようです。
でもこれが中華レザーで、かなり値段を盛ってあることに気づく人はあまりいません。とりあえずeBayで見つけてみました。
Gold Dollar208 Straight Razor+Leather Canvas Strop+Nylon Brush+Stone 3000-10000#
小さな砥石付、革砥、ナイロンブラシ付きで、このお値段です。もう一つ、別のセットをどうぞ。
Gold Dollar 208 Shave Ready Handmade Straight Razor Leather Strop 10000# Paste
砥石の代わりに、一万番手のダイヤモンドペーストをつけたセットです。更に単品だけを見てみましょう。
Gold Dollar 208 Old-fashioned Barber Straight Cut Knife Throat Razor Steel Blade QSTexpress
おまけ無しは、AliExpressから購入でき、日本円で現状のレートなら730円程度と、もうおもちゃのような値段です。ああ、もちろん送料込みですよ。
まあ、この程度の値段ですよ。そこそこ実用的でよければ、さほど高いものでありません。
ビンテージが高いのはコレクターアイテムですからしかたありません。専門家が使用する製品は、当然一般の道具より高価です。しかし、あくまで普通に使うレベルの品質でよければ、さほど高い値段のはずありません。
かつての日本のように、先進国では作ってもペイできない製品は、安く作成できる国へお願いしましょう。当初は先進国並みの製品はできないでしょうが、やがて品質も追いつくでしょう。品質が追いつくまでに業界が潰れないように、製品を購入すれば、多少の援助になるでしょう。
基本的に、私は中国人はバブル期の農協のようなもので、知識と認識不足から世界中であれやこれや好き勝手しているのだろうと思っており、そのうちに世界的なレベルへ振る舞いも追いつくだろうと思っています。中国政府は嫌いです。中国製品については、かつての日本を見ているようで、何だか好きになれそうです。
追記:記事を書いてから一ヶ月立っていませんが、関心は中国製品よりパキスタン製の方へ移りました。