シェービングのウソ、ホント。第2弾です。最初の記事が長くなったため、分割することにしました。
ストロークの長短
ある人は、「二度剃りをさける」ために、できるだけ長いストロークで剃ることを勧めています。全く正反対に、「肌に負担をかけないよう」に、短いストロークで剃ることを推奨している人もいます。
世の中でこうした、真逆の意見があるポイントは、実はさほど重要ではありません。正解がない箇所です。実のところ、慣れていない道具や環境で剃る場合や、剃る事自体に慣れていない場合は慎重にカミソリを使用するため、ストロークは短めになるでしょう。逆に、普段短い人でも慣れていけば、だんだん長くなるでしょう。
また、肌の負担の小さい順反りは長め、負担の大きい弱そりは短めになる傾向があります。
初心者におすすめするのは短いストロークで剃る方法です。長いストロークで一気に剃るためには、自分の顔の作りや髭の生え方を短いストロークで剃る場合より理解している必要があります。
いずれにせよ、いくつかのポイントを抑えてみましょう。
現代的なカートリッジ式のカミソリは、少なくても上下、最近のものは左右にも多少駆動し、顔の皮膚に対し適切な角度であたってくれます。しかし、一枚刃のカミソリは自分で適切な角度を調整しなくてはなりません。
初心者のうちは、鋭い刃物を軽く肌にあて、一定角度を保ちつつ動かすのは、少々の恐怖心もあり難しいでしょう。そこで、髭剃り自身、もしくは使用するカミソリに慣れるまでは、次のように剃ってください。
- 事前準備として、顔の皮膚を平面の集まりとイメージしてください。鏡を見て、皮膚を触りながら確認してください。頬など比較的平坦な箇所は大きめの平面として捉えられます。顎の先は上下の動きとして捉えるのであれば、小さな平面の集まりです。顎の骨の輪郭を横の動きで捉えるなら、細長い平面として捉えられます。
- その平面ごとに剃っていきましょう。まず、カミソリを適切な角度で肌にあてます。
- 指と手首を固定し、角度を保ちます。
- 肘と肩を使い、腕全体を動かしながら、平面を剃っていきます。次の平面に移動するときは、改めて角度を決め、固定し、腕全体で動かします。
人間は視覚から多くの情報を得るものです。そのため、鏡の中の自分の皮膚とカミソリを凝視することに集中しがちです。そのため、指先と顔や首の皮膚の触感からくるフィードバックを無視し、力が入りすぎることになります。
人間は優秀です。一度意識すれば自動的に指先と手首を調整し、角度は保てるものです。ですから、顔の皮膚の触覚へ意識を置くようにすると、適度な力加減で剃ることができます。
力加減の他に、「切れた!(力の入れすぎ、角度が悪い)」、「泡が乾燥してべたつく(水か泡をつける必要がある)」、「泡の水気が多すぎて、クッション性に欠ける(もう少しソープかクリームを足す必要がある)」、「刃の鋭さがなく、寿命だ(交換する必要あり)」、「刃の一部が欠けているようだ(交換する必要あり)」、「ほくろ、イボに当たった(うまいこと避ける)」、「髭の切断で刃先が跳ねる(柔らかくなっていない、順剃りが必要)」など、肌の触感が教えてくれる情報は貴重です。無視せず、その都度対処しながら、剃りましょう。
慣れてくれば、皮膚との角度を調整しながら剃られるようになります。そうなれば、ストロークを段々と長くできるでしょう。長いストロークの一番の長所は、時間短縮です。早く剃りあげられるようになります。
細かく泡立てると皮膚にやさしい
シェービングジェルが存在し、そのスムースさからフォームよりも深剃りに適していると言われている時点で、泡が必ずしも剃るために必要ではないことが分かります。
「細かい泡が肌と刃の間のクッションになり肌に優しい」という主張もありますが、どう考えても肌とカミソリの刃の間の隙間は、泡の大きさより小さいので、事実ではないでしょう。
実はこの項目を「その1」に一度書いたのですが、保存の失敗で消えてしまいました。その消去された文章に書いたのですが、泡がマイクロバブルぐらな細かい泡なら、まだクッションになる可能性があるかもしれません。
それを書いた後、別件で検索をかけたら、何かのマイクロバブル入りシェービングジェルを推進している理容師さんがいることを見つけました。商業的にはどうでしょうか。昔ながらの床屋さんなら、シャカシャカ粉石けんを泡立てるでしょうし、今や普通の床屋さんであれば、自動泡立て機(ラザーミキサー)で泡立てますし、大手のメーカーからもジェルは発売されていますから、価格では勝てませんしね。
ぶっちゃけ、滑るのであれば石鹸水でも剃れます。私は、一部の髭を追い込むときには、お湯を付け、シェービンググリームを泡立てずに直接塗って剃ります。ジェルのようにつるつるです。昔の床屋さんでも、最後に反り残った部分を追い込むときは、もう泡が消えかかっているカップの中の石鹸液を再度泡立てずにブラシで取り、そのまま塗って剃っていました。
現在のスプレー缶のフォームであれば、服を着たまま剃る場合であってもたれることはありません。ジェルでも同様です。クラッシックシェービングを好む方が細かい泡を立てるのは、細かく泡立てたほうが泡が持続し、かつ固くなるからです。ダラダラ垂れないからです。たとえば垂れてもかまわない風呂場で裸になって剃るのであれば、泡立てなくても、軽く泡立てるだけでも、好みに合わせて自由に泡を作れば良いだけの話です。
たぶん良く泡立てる最大の理由は、趣味性の高いクラッシックシェービングを行うばあい、泡立てていく過程も楽しいからです。好みにあった、そして大抵は時間をかけて探し求めたお気に入りのソープやクリームをじっくり楽しむためです。
穴熊ブラシで床屋のような…
穴熊のブラシの使用感のレポートに「まるで床屋のような肌触り」という感想をよく見かけます。
美容院ではなく、いろいろな散髪屋さんに出かける方ならご存知の通り、穴熊ブラシを使用している高級店はさほど多くありません。高級ブラシを並べているところは昔からありました。固定客が自分専用に購入した高級ブラシなどはキープされていました。しかし、一般客に使用されるのは、馬ややぎなどで作られた理髪店向き製品のブラシです。田舎なら、まずこれが使われるでしょう。(追記:穴熊ブラシのほとんどは今や中国製です。一流ブランドでも原料は中国のものが多いようです。日本でも中国製の安価なノンブランド穴熊ブラシが入手できますので、そうした製品を利用するところも増えていくかもしれません。)
穴熊は柔らかいですが、適度な反発力もありマッサージ効果があります。しかも、ソープやクリームを泡立てるのも簡単ですし、毛先で毛穴の汚れを洗えます。(と言っても、グレードや制作方法により毛先の状態はだいぶ異なります。安いブラシはブラシの先端をカットして形を整えます。せっかくの毛先の利点を活かせません。いくら見かけがシルバーティップのように見えていても、安い製品は脱色と着色されているだけです。)
シェービングブラシとしては最高です。水分や泡の含みも良いため、大量に保持できます。しかし、この利点が商売として行うには、欠点でもあります。含みが良いということは、それだけ余計に石鹸を消費するということです。無駄になる分が多いということです。
また、エイズの流行以降、衛生面は一段と厳しくなりました。義務化されたかどうかは知りませんが、ブラシを消毒する必要もあるでしょう。そうした消毒薬は天然の素材を痛めがちです。そのため、最近は化繊のブラシを利用するところも増えているようです。化繊は消毒薬による影響が少なく済みますし、値段も安いため交換しやすいからです。化繊ブラシも最近は性能が上がってきており、天然と同じように彩色されています。
そんなわけで、アメリカとかイギリスとかの床屋やサロンか、それとも日本の「意識高い系」散髪屋にでも行かないと、穴熊のブラシなんぞ使ってもらえません。(まあ使用していても、真面目に消毒していないでしょうね。傷みますから。私個人の意見としては、ソープやクリームを泡立てるのであれば、濃い石鹸水でしょっちゅう洗っているようなもので、消毒なしでも大して問題はないと思っています。個人でブラシを使用している人は、まず消毒しません。ブラシは連用するなら根本が濡れたままでないと、毛が抜けてしまいます。根本が完全に乾いているなら、使用前に十分吸水させる必要があります。ブラシは濡れたままという、非常に不衛生な状態で使うものであっても、肌に問題を起こすことはまずないですからね。問題があるとしたら、穴熊でも、テンでもいたちでも、馬でも豚でも、ラザーミキサーから出てくる泡を取り、塗るだけという使い方の場合、濃い石鹸に触れることがないので、洗浄できれいに細菌等が流れているのか疑問に思えることでしょうか。)
クリームには徐々に水を加えていく
よくボールを使って泡立てるのに、「しっかりとした泡を立てるには、泡立てながら水分を追加していく必要性」を説いている方がいます。しかし、適切な水分量がわかっているのであれば、はじめからその量を入れたほうが絶対に簡単です。当然ながら、しっかりと泡立てることもできます。(ちゃんと、これを説明している動画の外人さんもいます。そもそも、水分不足の泡を作っておいて、自慢気にこれが適量だと見せている人もいます。Youtubeにはロンドンの伝統的な理髪店である「3T」によるシェービングビデオも落ちています。そうした伝統的な店の泡の具合を自分の目で確認したほうが良いでしょう。そうした店でも、最近はラザーミキサーを使っているところもあるようですが。)
真新しい製品、よく慣れていない製品を泡立てる場合、「適切な水分」がわかっていないため、徐々に水分を足していくのは当然です。まあ、新しい製品の場合、クリームの適量も同様にわからいないですね。数回使えば、クリームと水分の適量は、つかめるはずです。
適切な水分量を判断するのを難しくしているのが、ブラシが含んでいる水分量がはっきりとわからないことです。あるブラシが含める最大水分量は決まっているでしょう。水分を含め、静かに空中に保持し、自然と水分が落ちきるのを待ちます。しかし、たぶん、こんな悠長なことは好まれません。
そのため、決まった回数降るとか、軽く絞るという方法が一般的ですが、含まれる水分量には誤差があります。それを最初の水分として泡立て始めると、毎回追加する水分量は変化し、そのため適量が判断しづらくなります。
そこで、軽く何回も振り続け、それ以上水滴が出なくなった状態をスタートとしましょう。5から6回も振れば十分でしょう。この状態であれば、誤差は少なくなります。ボールの側面にクリームを塗り、ボールをやや傾け、クリームを塗ったのとは反対側にお湯をいれます。水は大きな水滴になりますので、目で見て確認できます。最初は「アーモンド1個分」程度入れましょう。
多分それでは少ないでしょうから、お湯を足すことになります。足した量の水分を覚えておき、次回はアーモンド1.5個分とか2個分とか、十円玉大、五百円玉大と、段々水分を増やします。数回で適量が分かります。適量を何かのイメージで覚えておくと良いですよ。
3パス分程度を十分に行える泡を作るのでしたら、適切なクリームとお湯を決め、軽く混ぜるとボールの底に、あの懐かしいシャボン玉遊びをするときの石鹸水が現れます。通常、その程度の濃度の石鹸水になります。「これではびちゃびちゃすぎる。荒い泡しか作ることができない。」なんて言っている外人もいますが、嘘です。少ししか泡を作らない場合は、ブラシに水分が吸い上げられるので、ボールには石鹸水は残らないでしょう。
同じ方向に続けてかき混ぜずに、右回転数回、左回転数回とかき混ぜたほうが水分濃度が均一な泡が最初からできます。外人さんのビデオを見ていると、同じ方向にずっとかき混ぜ、泡がボールからはみ出ているものが多いです。ボールが小さいのが第一の原因ですが、ブラシの形とボールにあたる角度を考えてみれば、泡がどんどんボールの上に上がってしまうのは当然のことです。
最初にできた荒い泡が上に行き、細かい泡が下になります。そこで均一にするため泡全体を混ぜ、更に繰り返すことになります。適切に作った石鹸水を右に左にと回転方向を変えながら混ぜると、方向を変えるたびに泡全体が適切に混ざりながら均一になります。完全ではないですが、ボールの上に上がり過ぎるのも防ぐことができます。気違いみたいに高速回転する必要もありません。
もちろんソープを使う場合や、ボールを使わずに顔や手のひらなどで、ブラシにより泡立てるのでしたら、少しずつ水分を足していく方法がベスト…というより、他にやりようがありません。
タオルの蒸らし
朝に髭を剃る場合、一番に勧められるのは、蒸しタオルを髭に数分あて、髭を柔らかくする方法です。しかし、これが一番効果的というわけではありません。
「髪の毛を柔らかくする」シャンプーの話をご存知でしょうか。そうした製品を調べてみると、柔らかくする成分として含まれているのは水分だけだったという話です。逆に言えば、水分を含ませることが重要なのです。(現代では髪の毛について理解が一層すすんでおり、紙を柔らかくしたければダメージを与えればよいのです。ダメージを与えてまで柔らかくしたければの話ですが。)
よく考えてください。蒸しタオルを作るのに電子レンジで2分です。(通常は30秒から1分で適温です。洗濯後に乾かしたタオルを直前に濡らして使用する場合は、これでよいと思います。しかし、濡れたままであったり、洗濯しただけで乾かしていない場合は、雑菌が繁殖している可能性があります。ですから、殺菌の意味で一度高温にし、それを広げ、軽く振って適温に冷ましてから使いましょう。(アフターシェーブ剤に含まれるアルコールにより自分の皮膚の上の細菌を殺菌しても、すぐに毛穴に潜んでいたものが再度皮膚を覆いますので意味はありません。しかし、タオルで繁殖した雑菌は、皮膚の上の常駐菌とは異なります。タオルを含め、シェービング用品の殺菌は有意義です。)
蒸しタオルを顔にあて、じっとしているのが3分。濃いヒゲの人は3分でも足りないでしょう。まあ、蒸し上げるのに5分ほどかかります。蒸している時間に準備を整えることで多少の時間の節約になります。
しかし、面倒ですね。実際、タオルで髭を蒸すのは多少気持ちがよいのですが、一番効率的というわけでありません。
水分が髭を柔らかくします。できるだけ髭に水分を含めたいのです。すると、第一のブロックは油脂です。アフターシェーブやスキンクリームに含まれている油脂、肌から出る皮脂は水を弾きます。
よくシャンプーの製品や洗い方で、普通の方法では皮脂汚れが落ちないことを見せつけるため、拡大写真をつかっていることがありますよね。髭も髪の毛と同じです。通常髭はとても短く毛穴に近い場所にあるわけですから、たっぷりと皮脂で覆われています。そのままでは水分が通りません。
皮脂の次に水分の侵入を阻止するのが、毛の表面のキューティクルです。毛穴から近い、つまり生えてから時間が立っていませんので、キューティクルもしっかりしています。キューティクルは通常閉じていますので、硬い内部へ水分が入るのを阻止します。
この二つにより、水分が髭に入るのを妨害しています。もちろん、刺激や物理的な力を加えれば、隙間から入れることは可能です。お湯や蒸しタオルでマッサージする方法も有効です。しかし、基本的に効率よく短時間で給水させるのであれば、油脂を取り去り、キューティクルを開くことを考えればよいわけです。
話が長くてすいません。要は、石鹸で顔を洗えば良いという話です。つまり、タオルで蒸し上げる時間があるのなら、わざわざタオルを使わなくても、時間をかけて石鹸で数分顔を洗いましょう。髭の生えている箇所をです。蒸すのを楽しむときも、事前に石鹸で洗顔すると、ずっと柔らかくなります。
石鹸は「中性」や「弱酸性」ではなく、普通の「弱アルカリ性」の石鹸を使ってください。アルカリが油を落とし、キューティクルを開きます。
まあ5分あれば、さっと服を脱ぎ、熱いシャワーを一分、剃る場所を石鹸で一分洗い、洗い流すのが一分。体を拭いて服を着る。タオルで蒸すなら、同じ時間でシャワーを浴びられます。タオルで蒸す方法は、シェービングを楽しむための、趣味性が高い方法です。効率や利便性を求めるなら、別の方法もあるということです。(プレシェーブに自分で顔をマッサージしたり、蒸しタオルを使っても、大して気持ち良いものではありません。床屋さんで他の人にやってもらうから、気持ちが良いのです。)
他にも、石鹸で洗顔する代わりに、フェイスラザー(直接顔の上で泡立てること)を十分に時間をかけて行う方法も、同じ理屈で髭を柔らかくするのに効果的だと理解してもらえるでしょう。油を取り、キューティクルを開き、水分を供給して、柔らかくしているわけです。
いつも朝に剃る人も、ゆっくりとシャワーや入浴し、髭が柔らかくなり、皮膚が十分に水分を含み、血流が良く張りがある時に、一度剃ってみることをおすすめします。いかに剃りやすいかを体験すべきでしょう。この状態を朝剃る時にできるだけ実現できるように工夫しましょう。特にカミソリ負けを起こしやすい人はやってみるべきです。十分に準備した状況で剃り、カミソリ負けが起きていないか、最低で済んだなら、それは朝剃る時に、十分に準備が整っていなかったのだと判別できます。
タオルはきつく絞る
電子レンジでチンして蒸しタオルを作るときに、きつく絞ることを勧めている情報もありました。もちろん、ダラダラ水分が流れたならば、レンジが故障するかもしれません。
しかし、流れ落ちない程度に緩く絞った方が水分が多く、さらに水分が多いぶん温度が持続しますから、より髭を柔らかくする効果は増します。
軽く顔にのせるよりも、しっかりと密着させたほうが柔らかくなります。できれば、蒸している間は、髭の濃い部分をずっと押さえておいたほうがより効果的です。同様に温かいタオルでマッサージする方法も良いですよ。
温度は低いより、やけどしない程度に温かいほうが柔らかくなります。温度を下げないため、厚いタオルを使うか、数枚重ねたほうが、より効果的です。
タオル蒸しを楽しむときも、できるだけ効率良い方法を取りましょう。
ビデオ紹介
ブラシは穴熊、それもシルバーティップが肌触りが一番良いのはその通りです。そして、なんとなく豚毛を最下位ランクに位置づける雰囲気が、日本人の中にあるのは事実でしょう。なにせ、日本で安く手に入るのは、短い豚毛であまり密でないブラシですからね。(短い豚毛を蜜にすると、より固くて使いづらくなってしまいます。)
なにせ入手しやすく値段も安いため、初心者のかたが多いようです。そのため豚毛のブラシをそのまま使用している方が、大半のようです。硬い豚毛をそのまま使えば、そりゃ硬いですよ。
しかし、日本人のクラッシックシェービング愛好家の中には、豚毛のブラシの素晴らしさを紹介されている方もいらっしゃいます。
ブラシに関して海外サイトでよく聞くのが、穴熊は最初から素晴らしい、豚毛は段々と良くなっていくという説明です。豚毛は泡立たて、乾燥しを繰り返すと、柔らかくなります。段々と先端がばらけて、繊細になっていきます。育てる楽しみがあるのです。
とても硬い毛ですので、いきなり使うものではありません。購入後に最初の汚れを落としたら、泡立てて、乾燥します。それをだいたい二週間以上毎日繰り返して、好みの状態になったところで初めてシェービングに使用します。もちろん、最初から使い始めて、その変化を楽しむこともできますが、だいぶ硬いですよ。(硬い皮や木目でこすったり、サンドペーパーを使い、期日を短縮する方法もありますが、わざとブラシを痛めるのですから、おすすめはしません。)
豚毛は硬いので、一般にはソープに向いていると言われています。柔らかい穴熊に比べ、ソープを簡単にブラシに取ることができるからです。ただし、穴熊よりは泡立てるために時間がかかります。これは一般的には欠点ですが、髭を柔らかくするためにフェースラザーを行うのであれば、どうせゆっくりと泡立てるのですから、問題にはなりません。
イタリヤでは主に豚毛のブラシが使われています。イタリヤの床屋さんの動画を貼っておくのでご覧ください。長めの豚毛のブラシを使っています。
動画中に見受けられるものと似たようなブラシは、刷毛とシェービングブラシを作っているイタリアのメーカーであるOmega社のものが入手しやすいです。現行の商品では、48と呼ばれるものが近いかと思います。
このブラシは大きいため、「石鹸食い」としても有名です。そのため、一回り小さい49も人気があります。しかし、動画の床屋さんのブラシさばきに注目です。ほとんどの床屋さんはブラシの根本を持ち、ブラシを広げて使っています。広げて使うことで、柔らかく肌にあたるようにしているのでしょう。
根元の部分は泡立てにあまりつかっていません。見ている限り、形の保持と水分の調整に使っているようです。先端で泡立てているので、ブラシ全体で泡立てる時ほど石鹸は使わないでしょう。ブラシ全体で泡立てようとすれば、その分余計に消費しますので、石鹸食いになるわけです。
実際に顔で泡立てている様子を見れば、イタリアのProrasoのシェービングソープと、豚毛の長いブラシが欲しくなりますよ。前述のOmega48ブラシは安いです。製品自体は米アマゾンで13ドル程度で手に入ります。日本に販売可能で、一番安くなるショップは”DE RAZORS&BLADES”で、送料と合わせ21ドル程度になります。(ショップを見つけづらいので、頑張ってください。:D)
全工程は長いんですけどね。髭剃りはおじいさんが、Prorasoの服を着ているのに、別のメーカーのソープ使っています。じっくりと時間をかけ、顔の上で泡立てていく工程が気持ちよさそうです。後半の頭の剃りはお姉さん担当で、さすがに全部Proraso製品です。
豚毛のブラシは回転運動というより、左右、上下の直線運動で泡立てます。発生した泡をブラシの側面で塗るようにします。このペチペチ感が穴熊の柔らかさとは違った気持ちよさを感じさせてくれます。
10分辺りから頭の剃りが始まります。この床屋さんはブラシで湿らすところから始めています。続いてプレシェーブクリームを付けての長時間マッサージ、タオルで蒸らし、Prorasoのシェービングクリームをブラシで塗っています。50分辺りから髭剃りですが、準備の部分はカットされ、ブラシで泡立てるところからです。
おしゃれです。グラスの中にシェービングソープを入れています。7分辺りから、頭のシェービングです。まずブラシでお湯を塗り、プレシェーブでマッサージです。濡らしたタオルで水分を与えつつ、拭きとり、そのタオルを保温器へ! 😀 グラスでソープを泡立てます。:D
顔剃りは34分ごろからです。ブラシでお湯を塗るところから始まります。プレシェーブに続いてマッサージ、蒸しタオルでマッサージ、グラスからソープを取って、泡立てています。よく見ると、他の店より短めなブラシです。
5分辺りから、頭の剃りです。プレシェーブはありません。いきなりソープを泡立てています。29分から顔の剃りです。ここでもプレシェーブなしです。プレシェーブの手順がないぶんだけ、じっくりと泡立てます。
髭剃りだけの動画です。Prorasoのシェービングクリームを短めのブラシで泡立てます。あまり厚い泡は作らない人のようです。
田舎の床屋さんですね。剃り終わった後はアムルブロックを塗り、最後はクリームでマッサージです。
田舎のおじいさんの床屋さん。ゆっくりとした仕事です。
これも田舎の床屋さんです。ブラシさばきは見事です。剃るのも早いですね。
個室になっている床屋さんらしいです。Prorasoのクリームにエッセンシャルオイルを混ぜているようです。タオルで蒸し、かなり緩い泡で剃っています。
どの動画を見ても、また日本の床屋さんでも一緒ですが、最初はたっぷりと泡立てても、2パス、3パスと段々と泡の厚さは薄くなります。剃り残しを追ってところでは、水分だけで剃っている人もいます。肌の上に石鹸分が残っていれば、お湯だけつければ小さな箇所を攻めるときには剃りやすいですからね。
さて、何か書きたいことが見つかれば、パート3を書きますが、このパート2はおしまいにします。