アラントインを使用したローション

ひげそり後に使うアフターシェイブローション、気に入ったシンプルな製品が販売されていないため、いろいろ工夫してきました。この半年程度、アラントイン配合のローションを使用しており、調子が良いので紹介します。

以前紹介したバージョンは、ひげそり後に使用する「アフターシェーブローション」でした。最近は配合を変更し、ひげ剃り後の顔だけでなく、乾燥肌の対策も兼ねて全身に使用しています。

もともと乾燥肌だったわけでありません。どちらかといえば脂質肌でしたが、年を取ったのか油気がなくなり、冬にかゆみが出るようになりました。(他界した父親も最後の数年間、肌のかゆみに悩まされ、医者の判断は細菌などが見つからないため、乾燥肌のためという判断でした。しかし、入浴させていた私もだいぶ若いのに同じようなかゆさを感じるようになったということは、感染症の可能性もあるかもしれません。)

そのため、保湿とかゆみ対策に自作ローションを使用しています。

以前紹介したシェービングローションへグリセリンを配合したのは、保湿目的でした。今回のバージョンにも使用しますが、1%とだいぶ少なくしています。私達が分泌する成分は皮脂腺や肌の常駐菌により分解され、その際グリセリンも自然に供給されます。時間が経てば自然に保湿成分に覆われるわけです。それまでの間、多少繋げれば良いという考えで、今回は1%にしました。

アラントインは、保湿の目的に使用されることがありますが、直接水分を保持する成分ではありません。この成分は角質層を柔らかくし、回復力を高める働きがあります。その結果、肌の機能が回復し、「みずみずしく」なるのです。また、かゆみを抑える働き(抗炎症作用)もあります。こうした特性から、化粧品だけでなく医薬品の塗り薬や医薬部外品の商品にも幅広く配合されています。

アラントインを使用する自作ローション(100ml)

  • 蒸留水 100ml
  • グリセリン 1ml
  • アラントイン 0.2g

蒸留水か精製水(アラントインを加える場合、水道水ではだめです)にアラントインを加え、よく溶かします。溶けづらい場合は、多少温めましょう。保存容器に入れて、肌の温度が伝わるポケットにでも忍ばせておけば体温で温まり、溶けます。

溶かしきらずに粉を残していると再結晶しやすいため、底にいつまでも溶け残りが溜まります。完全に一度溶かしきりましょう。この濃度であれば、一度溶けたら冬でも再結晶しません。最後にグリセリンを1ml加えます。

水道水はミネラルが含まれてており、また水道管を保護するためにアルカリ性になっています。アラントインはアルカリで分解してしまうため、水道水は使用できません。ミネラル分がほとんどない蒸留水か精製水を使用しましょう。蒸留水と精製水は空気中の二酸化炭素を取り込み、通常酸性になっているため、アラントインは分解されずに残ります。

自作の化粧水を使っている方の中には、他の成分をいろいろと加えている情報を目にしますが、自作ローションがアルカリ性だと分解され、効力を発揮しません。知識がない場合は他の成分を混ぜず、このようにシンプルに利用しましょう。

厳密に言えば体積は101ml+アルファ、重さは100グラムを超えます。そのため、厳密にはアラントインの含有量は0.2%ではありません。また、よほど精密な計りでなければ0.2グラムを正確に計れません。しかし、自分で作り、自分で使用するならば、それが問題になることはないでしょう。

日本のアラントイン配合の最大配合基準は、厚生労働省により基準が決められています。(基準のため、化粧品や薬により多かったり、少なかったりします。)

  • 粘膜を含む箇所(上限0.2%)
  • 粘膜を含まない箇所(上限0.3%)
  • 洗い流す場合(上限0.5%)

要は、「粘膜に塗る可能性があれば0.2%まで、粘膜には塗らないが洗い流さない場合は0.3%まで、粘膜に塗らないが洗い流す場合は0.5%まで」です。もちろん、個人で使用するのであれば、より少なくしても構いません。

25度の水で0.5%しか溶けません。飽和状態です。水温が25度より低ければ、より溶けません。

自分自身で実験したところ、0.2%からだんだんと高配合にしていっても、さほど効果に変化はありませんでした。どの成分でも同じことが言えますが、少量の化粧品や薬を伸ばして皮膚に広げる場合と、たっぷりと塗る場合では、肌の上に残る成分量は異なります。私の場合は薄めに作っておき、痒みの強い部分は重ね塗りをしています。(さらにパッティングを行い、肌に浸透させます。)

ネット上の情報の一部には、スプーン一杯加えるとかいい加減なものが多いようです。アラントインはごく少量で効果があります。入れすぎないようにしましょう。アラントインはさほど水に溶けない性質ですので、多く加えても溶けきれません。温度を上げることで溶かしても、温度が下がれば飽和して、再結晶してきます。適切な濃度にしましょう。

このローションはシンプルです。肌を覆うことで水分の蒸発を防ぐ成分は含まれていません。特に肌の乾燥する部分やひび割れている箇所には、ローションを塗ったあとに上質のワセリンなどで覆うことをおすすめします。

使用感

最初にアラントインに目をつけたのは、かゆみ対策ではなく、ひげ剃り負けを早く回復させる成分を求めていたときでした。前に紹介したローションの記事の最後に書いたとおり、手頃な添加物を探していました。抗炎症作用があるため、ひげそり負けを起こした場合の痛みやかゆみを抑えてくれます。ダメージを回復させる作用があるため、カミソリの刃で傷んだ皮膚を回復させるにはもってこいの成分です。

そこで前回紹介した水+グリセリン+アルコール+メンソールのアフターシェイブローションに、アラントインを全量の0.2%になるように加え、使用してみたところカミソリ負けの軽減に非常に役立ちました。(当時、水を多く含ませて剃る方法を検証中で、力具合がまだつかめておらず、カミソリ負けが多かったのです。初めてこの配合を使用するとき、使用感に余計なフィルターをかけないように、冷静に判断したのですが、痛かゆい感じが10分程度で感じなくなり、その効果に驚きました。)

現在は、アルコールとメンソールを省いています。これは冬になり冷感が不必要になり、さらにシェービング後のアフターシェイブだけではなく、乾燥とかゆみを防ぐため全身に使用しているためです。

私の場合、きちんと肌に浸透させれば、かゆみ止めとして1日効果は持続するようです。肌に浸透させるには、軽く肌に叩くパッティングが有効です。(パッティングも有効だとか、逆に役に立たないとか、意見がいろいろあります。否定されたり、肯定されたりします。)

保湿感に関しては、グリセリンの量を1%に減らしたため、何もつけないときよりは多少マシな程度です。かゆい箇所と荒れている手や足の裏には、このローションを塗り、乾いた後にワセリンを重ね、水分が飛ばないようにカバーしています。

保湿という点ではワセリンのほうが役立ちます。一度たっぷりと塗り、その後ティッシュで拭き取る方法です。紙で拭き取れるところは、何かに接触して取れてしまう場所です。紙で拭き取れない凹んだことろが傷んでいる可能性があるわけです。そうした箇所にワセリンを残しつつも、自分の周辺をベトベトと汚さないで済む良い方法です。ワセリンをケチって少量を広げようとしても、ひび割れた奥とか細かい傷の部分がカバーできません。多めに使用し拭き取る方法をおすすめします。

アラントイン入手先

アラントインは医学部外品の原料リストに乗っています。つまり、特別な許可がなくとも小売は自由に行なえます。化粧品の原料として、検索すれば通信販売で購入可能です。

アラントインは様々な動植物に含まれています。コンフリーの根と葉から抽出されるという説明をよく目にしますが、販売するにあたって「自然」を強調し、印象を良くしているのでしょう。しかし、これはたぶん間違っています。

確かにコンフリーには成分として含まれており、アラントインも含まれているエキスは抽出され、販売されています。しかし純粋なアラントインは抽出ではなく、科学合成で製造されています。なぜなら、アラントインの販売価格は安いからです。値段の安い尿酸から合成できるからです。もし、天然物から抽出しているとすれば原料の収集と成分の抽出に手間がかかり、アラントインの市場価格はもっと高額になっているはずです。(日本の情報はコンフリーから抽出というものが多いため、数時間英語情報を探しましたが、それを証明するデータは見つかりませんでした。たぶん、コンフリーに含まれているという情報を誰かが「抽出する」と間違え、もしくは捏造し、それが広がったのだと推測します。)

ですから、我々が入手できるアラントインは化学合成されたものです。いかにも自然由来であるように紹介しているサイトは情報が不正確だと考えられます。

日本の製薬会社では取り扱いをやめてしまったところもあるようです。つまり昔から製造販売している原料であり、製造が難しい成分ではないため、値段で中国製などの製品と張り合えないのでしょう。

日本では化粧品の原料として10グラム300円程度、50グラムで1300円程度で小売販売しているところが多いようです。10グラムの場合は送料が安くつくため、合計で500円程度で購入できます。

100mlのローションを作成する場合、必要なアラントインは0.2グラムです。つまり、10グラムあれば50回分、5リットルのローションが作成できます。

私の場合、一年前に購入した10グラムがまだ残っています。しかし、残りも少なくなってきたので、購入先を探していました。前に購入した日本のアマゾンのショップは販売しなくなったため、別の場所を探していました。そのときに「500グラム21ドル」で米アマゾンで販売しているのを見つけました。「送料無料」になっていましたが、米アマゾンの「送料無料」は通常アメリカ国内だけに適用されます。そこで、送料を確認するために買い物かごに入れ、最終確認の手前まで進めてみたところ、日本に送ってもらう場合でも送料無料でした。

そこで、後先考えずに日本円で約2,500円で購入しました。それが、昨日到着しました。イギリスからの発送で、約20日かかりました。ジッパー付きのアルミパックです。詰めた場所がバーミンガムと記載されていますが、製造国の記載はありません。たぶん、製薬王国のインド製か、値段の安い中国製でしょう。前述の通り、昔から存在する成分です。さほど製造に技術が必要な成分ではありません。そのため、生産国はあまり問題ではありません。

アラントインが多めに必要な方は、amazon.comから直接この製品を購入されることをおすすめします。このショップは、海外への発送もお手の物です。

amazon.com、アラントイン500g

このショップが運営するサイトから直接購入することもできます。その場合、商品の値段自体は安くなるのですが(500グラムで10ユーロ程度)送料が高くなり、結局アマゾンの価格とほぼ同じになります。それならば、保証が充実している米アマゾンから購入したほうが良いでしょう。

追補

私はかゆみ止めの作用に期待して使用しています。ただ、アラントインは様々な医学部外品の製品や薬品に使用されていますが、強いかゆみ止めではありません。ですから、皆さんに効果があるとと保証できません。

アラントイン自体は、「日本薬局方外医薬品規格 2002」と 「医薬部外品原料規格 2006」に記載されています。ネット上で記載されている内容を探しましたが、見つかりませんでした。しかしこの厚生労働省の通達内容を見ていただければ、リストに乗っていることが確認できます。

また、かゆみ止めの作用に関しても、「鎮痒消炎薬の規格及び試験方法について」の通達にアラントインはリストに含まれていますので、かゆみ止めの効果は認められています。


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