Henry Cavendishシェービングソープの実力

アメリカのアマゾンで、シェービングソープ部門のベストセラーを続けている、Henry Cavendishのレビューです。

箱の中にはオレンジ色のソープがラップされています。Amazonの成分表には着色料が記述されていますので、色付けしてあるかと思います。ミルクキャラメル色です。

米アマゾンで長い間トップセールスを続けているので、どのくらいの実力があるか知りたいと思っていました。手持ちのクリームはまだあるのですが、ソープがプロラソ緑だけになり、しかも残りもわずかなため、国際配送料が飛び抜けて安い米アマゾンから今回購入することにしました。

おお、なにやら「お前のブログは長い」という声が聞こえてきそうです。結論先出しのほうが良いですか?では、そうしましょう。

私の結論は、「試しに購入するだけなら、他の商品をおすすめします。」

香り

アメリカ人と日本人では、香りに対する評価が全然違います。米アマゾンでは、香りを褒め称えているコメントが多いです。

ソープの香りをそのまま嗅ぐと、ココナッツの甘い香りに、ほのかに杉の香りが混ざります。実際に、泡立てていると香りは変化します。ココナッツ系等の香りには鼻が比較的慣れやすいので、その他の香りが立ってきます。

この香りを説明するのは面倒です。いや、化粧品で似た香りを書いだことはあるはずです。昔のおしろいにつけてあった香りです。化粧品ぽい拡散性の人工ムスク(パウダリームスク)に僅かな花の香がするものです。この香りを良いと思うのは、日本人男性の半分いないと思います。どんな香りでもはまる人はいるので、悪いとは言いません。

もっと下品(人間の根本に関わる部分なので高尚ともいえますが)な話をすると、コンドームのゴムや大人のおもちゃのゴム臭さをごまかすために、混ぜ込んである香料の強さを抑えめにした感じです。化粧品ぽいムスクの持続する感じに、やや針葉樹の香りを漂わせた感じです。

香りの成分のブレンドの結果、昔の日本の化粧品の香りに近くなっているでしょう。ココナッツは、たぶん原料のオイルの香りでしょう。一番多い油脂成分がココナッツオイルです。

香料は「ヒマラヤン・メンズ・パフューム」だそうで、成分表には「インド杉、ヒマラヤ青松、カシミアムスク、インドアンバー」が商品の箱に記載されています。カシミアからムスクが取れるのかとも思いますが、cashmere muskという調合香料が検索でヒットしますので、それかもしれません。更に深く掘り下げると、IFF社の人工香料であるCashmeranもカシミアムスクとして表記されることがあるそうです。すると、100パーセント天然とは言い切れなくなります。逆に天然モノだとすると、動物のカシミヤからムスクが取れるような話になりますが、そんな情報は見つけられませんでした。カシミアは地域名でしょう。

残香性は商品に書かれている通り、かすかに長く香ります。

成分

とっても変わっています。成分表のとおりに訳してみます。

「グリセリン、ココナッツオイル、sodium castorate oil(多分ひまし油を固形石鹸にしたもの)、水酸化ナトリウム、精製水、ハイブリッドひまわり油、ソルビトール、シアバター、大豆、ヒマラヤ香料」

成分表は重量が大きい順番に書くのが世界の習わしです。すると、一番多く含まれているのがグリセリンです。厳密な定義はないにしろ、まさにグリセリンソープです。Col. Conkのようなグリセリンソープの愛用者も多いのですから、それ自体は問題はありませんが、値段が少々高いようです。「天然派」にするためのコストがかかっているのでしょうか。

ベストセラーの秘密

まず、「アマゾンでベストセラー」ということが大きな看板になっていると思われます。製品リストの中に「ベストセラー」の文字があれば、商品に詳しくない人は購入するでしょう。

更に、天然由来の成分のみで作られているという商品タイトルも魅惑的です。

そもそも、原料としてはグリセリンを大量に使っており、値段が高いと思われるシアバターは少ししか入っていません。ですから、原料のコストはさほど高い商品ではありません。

それを高い値段で販売しています。低評価のコメントを読んでみると、どうも商品購入者に電話で「コメント書いてくれ」と依頼して回っていたようです。また、一度購入するとクーポンが届き、次回は安く入手できたようです。商品の魅力というよりは、販売の手腕によりベストセラーにしたと言ったほうが良いでしょう。

現在はそのような方法は取っていないようです。もっとシンプルに「3つ買えば、2つ分の値段」で販売しています。つまるところ33%割引になります。割り引いた値段でも、グリセリンたっぷりのソープにしてはお高めです。十分利益はでていると思います。量も売れていますしね。

詳細はわかりませんが、自然派商品に弱い、女性の購入者も多いのではないかと推測しています。

ちょっと戻ります。アマゾンコメントで香りを褒めているものが多い理由です。これも私なりに推測しますと、ソープとしての性能はさほどではないと思った購入者が、コメントを書いてくれと頼まれると、比較的受け入れやすい部分を褒めることになります。それが香りで、結果香りを褒めるコメントがあふれたのではないかと怪しんでいます。

まあ他の理由として考えられるのが、ビデオでよくあるもこもこの泡を簡単に作ることができることも一因でしょう。もこもこ泡が素晴らしいと刷り込まれている人にとって便利な商品です。ただ、もこもこ泡は滑りもクッション性も劣るので、気をつけてください。写真や動画を撮る場合には、かっこ良い泡ができるので便利です。

値段を考える

元の値段、約13ドルです。同じ程度の値段のブランドソープが購入できます。(ええ、トリプルミルドの工場大量生産品です。)また、小ロット生産のハウスメイドのソープも購入できます。(ブランド分の値段が上乗せされていませんし、市場で切磋琢磨していますので、良い製品を出すブランドがあり、ネットでワイワイガヤガヤしているウェットシェービング愛用者間では主流のようです。)

そう考えると、このグリセリンソープにこの値段を出すなら、多少値段が増減するにせよ、最近名が通っている自家製造のソープメーカーの商品の方を私ならばおすすめします。

3つまとめて購入するとしても、グリセリンソープを試したいのであれば、化学物質を使っていますけれど、Col. Conkのほうが安いですよ。このソープを気に入って、常用するのであれば3つまとめて購入すれば、まあまあ受け入れられる値段になります。ちなみに毎日剃って、Col. Conkの2オンスくらいのものは一ヶ月程度の使用が前提です。この商品は3ヶ月程度持つようです。

使い勝手

107グラムと表記されていましたが、実際に計測すると125グラムありました。

電子レンジで本当によく溶けます。適当な容器に溶かしたほうがよいかと思います。容器に適当に入れて隙間ができると、水が溜まりやすくなります。その水分を取り除かず放っておくと、グリセリンソープですから水分を吸い、溶けてグデグデになります。

具体的なワット数は記載されていませんが、20秒で溶けると書かれています。私の場合、念の為に手持ちの電子レンジの最低ワットである200Wでかけてみましたが、それでも1分20秒ほどで全体が平らになり、隙間がなくなる程度に溶けました。元の固さに戻るまでは数時間かかります。

上から見ると、元のソープの円形と溶けた部分が分かります。全部溶かしきる必要はありません。香りが変化してしまいます。使用に差支えない程度に溶かせばよいでしょう。

いろいろな方法でローディングしてみました。ある程度水気を切ったブラシで泡立てる方法、たっぷりと水を含めたブラシでローディングする方法。あらかじめ数分ぬるま湯をソープの上に張っておく方法などです。

結論としては、少々のぬるま湯、ある程度水気を切ったブラシが吸い上げられる量をあらかじめ入れて30秒から数分置いておき、お湯を捨てずにローディングする方法が一番簡単でした。できれば熱めのお湯を少しだけ入れる方法が良いでしょう。

ローディング時に水分が多いと最初は薄い石鹸水ができます。通常はそのままブラシでソープを溶いで、だんだん濃くしていきます。ただ、このソープの場合、薄い石鹸水の段階で、固めの泡ができてしまい、その泡がゼリー状なため、全体を濃くするのが面倒です。

ですから適量のお湯を入れ、しばらくして表面が柔らかくなったタイミングで、その張っておいた水ごとゆっくりと混ぜながらローディングする方法が良いでしょう。わざわざゆっくりと書いたのは、薄めの石鹸水でできるゼリー状の泡ができないようにするためです。

濃い目にローディングし、連用していくうちに、ソープが水分を吸いますので、お湯を張らなくてもローディングできるようになるかと思います。

フェイスラザーがよいかと思います。泡立てるのではなく、クリーミィにする感覚でラザーリングしましょう。

他のソープの場合は「最適な泡」を作るための「水分量」はある程度幅があります。理想状態より多少多くても、少なくても剃れますが、このソープの場合は適量の範囲が「狭い」ようです。少し水分が多いだけで、ゼリー状の固い泡になってしまい、クッション性も、滑りも悪くなります。

まとめ

最後に繰り返しておきますが、同じくらいの値段の小さなメーカーのグリセリンがたっぷりではない、シェービングクリームを再度おすすめします。全然使いやすいですし、クッション性も滑りも上です。

私は基本的に両刃カミソリ、替刃はフェザーです。鋭い刃ですからクッション性の低い、このようなソープでは剃りづらいという点を含めているため、きつ目のレビューです。今日でレビューのためのシェービングは最後にするつもりですが、剃りづらいので簡単に剃ってお終いにしました。のちほど、何かあごが痛いので鏡を見たら、いつの間に3箇所流血していました。

もし、もっと緩い替刃を愛用されている方の場合は、別の結果が出るでしょう。その点を最後に記して、このレビューを終わりたいと思います。


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